研究課題/領域番号 |
15K20801
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研究機関 | 京都学園大学 |
研究代表者 |
河田 志帆 京都学園大学, 健康医療学部, 講師 (70610666)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシー / 性成熟期女性 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度の下位尺度「女性の健康情報の選択と実践」「女性の体の知識」「月経セルフケア」「パートナーとの性相談」を基に、看護職、女子大学生からの情報収集によりプログラム案を検討した。プログラム案は講義と月に1回の携帯電話メール配信を組み合わせた3か月間の構成とした。使用教材は、スライド、基礎体温計および表や、婦人科受診時のシミュレーションのワークシートとした。 次に、先行研究で明らかとなったヘルスリテラシーに関連する要因である婚姻歴や妊娠歴が少ない20歳代の女子大学生を対象にプログラム評価及び有効性の検討を行った。 プログラムの評価では、13名が参加し、全員がとても満足、満足と回答した。難易度についても、全員がちょうど良いであった。参加前後のヘルスリテラシー尺度の得点は、参加後に有意に高かった。 続いて、有効性の検討では比較群を設けた準実験デザインとした。対象者数はヘルスリテラシー尺度得点を基に算出し、各群13名以上とした。評価項目は、ヘルスリテラシー、知識、保健行動とした。介入群の参加者は14名、比較群の参加者は60名であった。最終調査の参加者は、介入群14名、対象群56名であった。両群のペアマッチングを行い、最終の分析対象者は各14名ずつの合計28名とした。事前調査時の両群の属性、ヘルスリテラシー、知識、保健行動および行動変容ステージの全てに有意な差がみられなかった。最終調査の介入群のヘルスリテラシー尺度得点と比較群の尺度得点に有意な差がみられた(P=.002)。医療従事者に自分の体について説明する自信があると回答した人の割合は、介入群で14名(100%)、比較群では4名(57.1%)で有意な差がみられた(P<.001)。また、介入群の知識得点と比較群の知識得点に有意な差がみられた(P=.008)。両群の全ての保健行動に有意な差がみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
性成熟期の女性労働者を開発する前段階として、プログラム案の作成および評価について 性成熟期の入口である20歳女子大学生を対象に実施することができた。また、20歳代の女子大学生に対し、プログラムは一定の効果と課題を得ることができた。これの結果を基に、働く女性を対象とした女性特有の疾患を早期発見・治療につなぐためのヘルスリテラシー向上プログラム開発への準備ができたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に行った結果を踏まえ、性成熟期女性が働く事業場等の産業看護職に意見聴取を行い、プログラムをさらに洗練する。そのプログラムを用いて、性成熟期の女性労働者に対し、プログラムの評価および有効性の検討を行う準備を進めていく予定である。 現在、協力事業所等を調整を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度末に国際学会投稿用の抄録を作成し、英文校正の予定をしていた。発表内容の調整等があり、平成28年度はじめに予定がずれ込んだためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に発生した使用額の差額相当額は、平成28年度はじめに英文校正が終了し、計画どうり受理されたため、執行されている。つまり、平成28年度の使用額の執行計画には、影響はない。
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