最終年度は、壮年期の転倒のメカニズムを明らかにすることを目的とした。また、壮年期からの転倒リスクや身体の変化を自己チェックできる方法を検討し、転倒予防のための自己チェックの方法論を確立することを目標とした。そのために、これまでに収集した壮年期・中年期の身体計測、体力測定、質問紙調査の結果を分析した。 対象は宮崎県及び千葉県で実施した測定会の参加者とした。自己チェックツールとして開発した姿勢重心計測機器を用いて、転倒リスク、安定時間、前後バランス、左右バランス、片足立ち時間を測定した。今回、60歳代、70歳代の転倒リスクが他の年代に比べて高い傾向がみられた。しかし、20歳代であっても片足立ちによるバランス能力の低下がみられた。 バランス能力は転倒予防に必要な運動能力の一つである。転倒リスクは年齢とともに高くなるが、自覚症状がない若い時期から、生活の見直しや将来の転倒予防に向けた身体づくりが必要である。姿勢重心計測機器は日々の体重測定がてら、バランス状態、転倒リスクを自己チェックできるため、普段から転倒予防を意識した生活改善が期待できる。また、転倒リスクの気づきを促すため、姿勢重心計測機器による測定は健診や保健指導の場に活用できると考える。 これらの結果は、第43回日本整形外科スポーツ医学会学術集会、第8回日本健康運動看護学会学術集会、第27回日本健康医学会総会で発表した。また、論文としてまとめ、日本健康医学会雑誌に投稿し、受理された(「姿勢重心計測機器で把握した左右バランスと体力およびロコモ度との関連」日本健康医学会雑誌,掲載号未定)。 研究協力をしていただいた企業に対しては研究成果の報告を行った。
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