研究課題/領域番号 |
15K20805
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
赤間 由美 山形大学, 医学部, 助教 (90700021)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生活保護現業員 / メンタルヘルス / メンタルヘルス支援プログラム / 自己効力感 / 職場のソーシャルキャピタル / ケース診断会議 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は生活保護現場の特性を反映した、現場で活用可能な生活保護現業員のメンタルヘルス支援プログラム(以下メンタルヘルス支援プログラム)を開発することである。 平成28年度からメンタルヘルス支援プログラムの効果検証のため、3ヶ所の福祉事務所にてクロスオーバーデザインでメンタルヘルス支援プログラムを実施してきた。平成29年度も28年度に引き続き、介入の継続、および効果検証を予定していた。しかし、対象としていた福祉事務所のうち1ヵ所から介入研究への協力が難しいという申し出があり、当初計画を変更し、データ収集を実施し現在データの整理中である。効果検証の主要アウトカムとして、生活保護現業員としての自己効力感とその情報源、職場のソーシャルキャピタル、精神健康度(GHQ12)を測定した。 本研究において、現在まで明らかになったこととして、対象となった生活保護現業員の48.3%は精神健康度が不良であり、研究者らが実施した先行研究の結果と同様であった。また、福祉事務所ごとのGHQ12得点はベースラインの時点で有意な差が認められた(p<0.001)。介入群においての介入10ヶ月の前後比較では自己効力感の情報源である、成功経験、代理体験、言語的説得が有意に低下しており、研究者が意図したメンタルヘルス支援プログラムの実施により、自己効力感向上に働きかけメンタルヘルス改善へとつながっていない結果であった。しかし、群間比較では職場のソーシャルキャピタル(水平型)得点は介入を最も多く実施した福祉事務所と対象群の福祉事務所との間で有意な差が認められ、介入群の方が職場のソーシャルキャピタル(水平型)得点が有意に高かった(p<0.05)。対照群のデータが少なかったため引き続きデータを収集しており、今後そのデータを含め分析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介入研究として本研究を進めてきたが、平成29年度介入予定の福祉事務所より、業務との関連で介入プログラムの実施が難しいという申し出があり、当初の対象数を確保することが難しい事態となった。平成29年度末までデータを収集し、研究遂行に時間を要しているため、補助事業期間の延長を申請し、平成30年度も本研究課題に取り組み、成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度末まで収集したデータの分析を進める予定である。平成28年度に介入開始し、介入開始から10ヶ月後のデータでは介入の有意な効果は認められなかった。平成29年度末までのデータ収集しているため、引き続き分析を進め福祉事務所ごとの介入効果の持続について分析を進めていく予定である。主要アウトカムとした生活保護現業員としての自己効力感とその情報源、職場のソーシャルキャピタル、精神健康度(GHQ12)のうち、職場のソーシャルキャピタルの変化が一部のデータで認められており、主要アウトカムの変化だけでなく、各変数の関連等も踏まえて分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
介入研究として本研究を進めてきたが、平成29年度介入予定の福祉事務所より、業務との関連で介入プログラムの実施が難しいという申し出があり、当初の対象数を確保することが難しい事態となった。平成29年度末までデータを収集し、研究遂行に時間を要しているため、補助事業期間の延長を申請し承認された。 平成30年度は28年度データでは介入プログラムの効果を、29年度データでは28年度の介入効果の維持状況も含め分析を進める予定である。研究費使用予定として、データ分析、資料整理のための人件費、図書、文房具やパソコン関係等の消耗品購入、研究成果発表のための学会参加・旅費に充当予定である。
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