研究実績の概要 |
平成29年1月にムンティンルパ市(フィリピン)において、現地調査を行った。本調査の目的は、バランガイ・ヘルス・ワーカー(以下、BHW)(なお、BHWは専門職ではなく、ヘルスボランティアである)の産褥期支援における知識・技術・態度の向上を目指した短期間のワークシート活用型トレーニングの成果を検証することであった。 研究方法として、産褥期の文化的背景や参加者の思考を記述するため横断的な質的記述的デザインを採用した。対象者はムンティンルパ市に登録されているBHW12名であった。実施方法は、衛生・生活習慣・保健サービスの項目から構成されたワークシート(以下、WS)を使用し、①個別にWSを作成、②グループワーク、③助産師からの講義を受ける、④評価に関する質問紙の記載、を約3時間かけて行うスタイルをとった。これまでの調査を基にBHWが学習すべき項目をピックアップし、ワークシートを作成した。ワークシートの項目は次の1)~3)から構成され、それぞれ①~③の下位項目を置いた。 1) Sanitary after delivery (①Keep breasts clean, ②Keep vagina clean, ③Treat urination / defecation, ④Use sanitary materials), 2) Postpartum life (①Take healthy food, ②Take rest at home ③Have family planning, ④Visit hospital or health center), 3) Health care service after delivery (①Take postpartum check-up, ②Receive home-visiting service from BHW) 本調査から次の成果がみられた。①フィリピンの産褥期の古くから地域に根付いている文化慣習、近代に発生してきた文化慣習の両方を考える機会となった ②BHWがBHWとしての役割を具体的に自覚するきっかけづくりや、予防的アプローチについて学ぶ機会にもなった。なお、今後は、本成果を基盤として、BHWの教育プログラムを構築し、BHWを活用した地域介入研究として、地域で生活する褥婦の健康状態を測定していく。
|