研究課題/領域番号 |
15K20811
|
研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
山下 正 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (90613092)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | フィリピン / 褥婦 / 妊婦 / 自宅出産 / 地域ヘルスボランティア / 学習プログラム / 都市部貧困地域 / 家族 |
研究実績の概要 |
これまでに本研究成果として、①フィリピンの自宅出産者には、産後の健康障害が起こっており、それには保健サービスの利用状況が関係していることが明らかになった、②フィリピンの自宅出産者等の女性を支援するための地域ヘルスボランティアの学習プログラムの案を作成し、その評価を行った。②については、現在、成果報告のための論文を執筆中である。一方で、新たな課題が見つかった。学習プログラムの開発の過程で、フィリピンでは、妊産婦の健康に家族関与の影響が強く関係している可能性があるということである。この点に関して、現地の地域ヘルスボランティアも課題認識を強く抱いていることから、本研究の本質を探究するためにも、その課題に取り組んでいく必要性が検討された。今後、本研究課題を発展的にしていくために、次の課題に取り組んでいく。詳細は次の通りである。フィリピンでは、様々な女性の健康的な行動に家族の関与があげられる。例えば、フィリピンの妊婦健診受診の要因の一つとして夫に相談できる夫婦関係性がある。また、祖母から特定の食事を指定されるといった伝統的な風習もある。つまり、フィリピンの妊婦の健康管理は、妊婦自身の健康管理能力だけではなく、家族関与の影響が大きいと考えられる。また、その影響は貧困である程大きいと考えられる。そのため、フィリピンの都市部貧困地域に居住する妊婦が適切な健康管理を行うことができるため、家族がどのように妊婦の健康を考えているか、またそのことが健康にどの程度影響があるのかについて検証していく。以上のことから、フィリピンにおける自宅分娩者支援のための巡回型産褥期訪問システム構築に向けて、継続して科学的根拠を蓄積していく。また現地で継続して実施できるシステムになる得るのか、地域ヘルスボランティアの学習プログラムにどのように反映させることができるのか、その可能性を検証していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学業務の多忙により、現地調査の時間を確保することが難しい現状にある。
|
今後の研究の推進方策 |
フィリピンにおける自宅分娩者支援のための巡回型産褥期訪問システム構築のため、地域ヘルスボランティアへの学習プログラムの開発が急がれる。しかし、パイロットスタディを通して、フィリピンの都市部貧困地域に居住する妊婦が適切な健康管理を行うことができるための家族関与のあり方を調査する必要性が検討された。そのため、フィリピンにおける妊婦への家族関与のあり方を調査し、その結果を地域ヘルスボランティアへの学習プログラムに反映させていく予定である。まずは研究機関の倫理委員会の承認を得て、発展的に継続できるように調査準備を進めていく。また、最終年度であるため、現地スタッフと今後の方向性についても検討し、現地で継続して実施できるシステムになる得るのか、その可能性を検証していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
フィリピンにおける自宅分娩者支援のための巡回型産褥期訪問システム構築のためには、これまでの研究成果から、追加調査が必要であることが判明した。今年度は、現地に一度行き、追加調査を実施する。現地調査費として、質問紙(妊婦とそのパートナー)作成のための翻訳費、質問紙調査参加への謝礼、現地通訳、レンタカー費用が発生する。成果報告書として、投稿料、学会発表費用が発生する。
|