研究課題/領域番号 |
15K20814
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
梶原 由紀子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (50512026)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 養護教諭 / 危機対応 / 研修 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、全国の小・中・高・特別支援学校の養護教諭が受講した危機対応に関する研修の内容や、時期、期間、ニーズについて調査を実施するための基礎調査を行い、全国調査に向けての質問紙の構成を行った。具体的には、先行研究の整理、学会や救急法講習会等での情報収集、そして、近隣の養護教諭の研究会及び小学校1校において、養護教諭へのヒアリングを実施し、これらの内容から課題を抽出した後に質問紙に盛り込むべき複数の柱を構築した。平成27年度の研究は、調査の事前ヒアリングを実施することで、ある程度の支援方法の方向性や内在する課題を把握することができ、そのうえで調査票の作成に向かうことで、収集されるデータ内容の精度を高めるようにすることができる。この点において意義があり、かつ重要性の高いものと考える。ヒアリング等の結果、養護教諭が希望する危機対応に関する研修の内容が、「学校安全に関するもの」、「心のケアに関するもの」、「緊急時(救命救急)対応」、「その他の研修」に分類され、また、研修を受講するための課題として、危機対応に関する研修の機会が少ないことや時間の確保や校内の連携と情報共有、さらには、病院に受診するまでに必要な処置や対応について、救急隊による研修や事例検討、シミュレーション等により、様々な養護教諭と意見交換をしたい等、研修の方法についても大きな期待が寄せられていることも聞き取った。これにより、全国調査においては、(1)養護教諭が受講した危機対応に関する研修の内容、(2)養護教諭が希望する危機対応に関する研修の内容とその理由について、(3)危機対応に関する研修の方法、(4)校内の連携体制と情報共有の4つの柱について質問紙を構成した。なお全国調査の実施は平成28年度に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の研究計画においては、(1)近隣の養護教諭へのヒアリング、(2)課題の抽出と明確化、(3)調査票の作成及び全国13ブロックからの調査実施校の選定と調査の実施の3点を課題としていたが、上記のうち調査実施校の選定と調査のみ未実施である。これは、平成27年度内での調査実施を見送り、翌年度での実施へとその計画を変更したことによるが、その理由として、研究協力者及びヒアリングを実施した養護教諭らの意見を参考にし、より具体的な研修内容を把握し調査票を作成し実施することで、収集されるデータの内容の精度を高める必要があると考えた。より正確な実態の把握という点から必要となった計画の変更であるが、当初の計画より遅れていることから、やや遅れている進展と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の計画で未実施の全国13ブロックからの調査実施校の選定を行い、各30校ずつ協力校を選定し、養護教諭へ質問紙調査を実施する。また、調査データの分析と必要要件の抽出を実施する。分析から、養護教諭の危機対応に関する研修の受講状況について明らかにし、研修の内容、時期、期間等の研修に関する必要要件を抽出する。それを元に、危機対応力向上に関する短期研修仮説プログラムを作成し、研修を実施する。 最終年度となる平成29年度は、実施した仮説研修についてPDCAサイクルに則り、プログラムの評価と課題の検討を行う。プログラムの評価においては、研修に参加した養護教諭に、研修会の内容、時期、期間等について事後評価をしてもらう。そこで得られた評価と課題の検討より、危機対応力向上に関する研修プログラムを作成し、その内容についてまとめ報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施予定であった全国調査を28年度に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
全国調査を実施することから、調査紙の印刷製本費、発送及び回収にかかる封筒の購入費、通信費等の費用を必要とし、調査データのとりまとめのためデータ入力にかかる費用、データ解析に必要な統計処理ソフトSPSSの購入費、データの管理のためのUSBメモリの購入費を要する。また、分析に際して、打ち合わせにかかる旅費及び通信費、プログラム作成に必要な情報を収集するための関連学会への参加と記録用カメラとSDカードの購入費として使用する。
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