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2016 年度 実施状況報告書

東日本大震災後の社会的参加活動がソーシャルキャピタルや主観的健康感に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 15K20815
研究機関岩手医科大学

研究代表者

佐々木 亮平  岩手医科大学, 医学部, 助教 (70587914)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード東日本大震災 / ソーシャルネットワーク / 社会的孤立 / 社会参加活動
研究実績の概要

本研究では平成23年から継続実施されている「岩手県における東日本大震災被災者の支援を目的とした大規模コホート研究(RIAS)」のデータを活用し、被災地における地域交流等に関する実施状況と組み合わせることで、それらの活動が個人のソーシャルネットワーク(SN)やソーシャルキャピタル(SC)に与える影響、SNやSCの変化が身体的、精神的健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。
平成28年度は、陸前高田市における東日本大震災から発災1年目のソーシャルネットワーク(SN)の状況と3年が経過した時点での状況を比較し、SNの変化とその関連要因の検討を行った。また、陸前高田市における社会参加参加活動の実施状況の情報収集を行った。
関連要因の検討は、陸前高田市の研究参加者4,877人のうち、平成23年度と平成26年度の調査の両方に回答が得られた18歳以上の2,998人について分析を行った。SNの状況にはLubben Social Network Scale (LSNS)を用いて評価し、12点未満を社会的孤立ありと定義した。平成26年度時点で864名が社会的孤立状態であった。平成26年度の社会的孤立と有意な関連が認められた要因は、独居、暮らし向きが苦しいこと、高血圧既往、心理的苦痛、低身体活動、不健康な食事、2011年時社会的孤立であった。今後は心理的苦痛の軽減、身体活動、食事に対する支援を通じた社会的孤立を防ぐ取り組みが重要になることが示唆された。
陸前高田市における社会参加活動の実施状況の調査は、行政やNPO等が把握している活動状況について情報収集を行い、約200ヶ所の活動状況について市内8町別にマッピングを行った。今後はさらに継続して行政やNPO等と協力して調査を行い、地域での活動状況を把握した上で、RIASの結果(K6や健康度)との関連を検討していけるよう計画していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成28年度は、陸前高田市における東日本大震災から発災1年目のソーシャルネットワーク(SN)の状況と3年が経過した時点での状況を比較することで、社会的孤立の変化とその変化に影響を与える要因について確認することができ、今後の研究を進める上で重要な知見を得ることができた。
また、陸前高田市内8町別に社会的参加活動の実施状況について、基本的な情報を整理することができた。
しかし、当初予定していた陸前高田市における地域交流や社会参加を促す活動に関するアンケートを実施した上でのRIASの結果との関連の検討については実施することができなかった。
したがって、全体としての研究目的の達成度を「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

本研究におけるソーシャルキャピタル、ソーシャルネットワークの定義について先行研究等にあたりながら改めて整理し、陸前高田市における地域交流や社会参加を促す活動について、行政やNPOなどが取り組まれている内容はどのようなものがあるか引き続き情報収集を行う。同時に現在進めている市内8町別に整理した基本的な活動状況について、活動数や種類、頻度などRIASの結果と比較検討が行えるようアンケート調査を行い、その結果を取りまとめ、加工しながらさらに整理を行う。
上記情報が収集、整理がなされた上で、RIASの調査結果と統合させることで、地域交流や社会参加を促すような活動の実施状況と主観的健康感やK6等との関連を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

地域交流や社会参加を促す活動の実施状況に関する情報収集は陸前高田市役所や現地NPO等関係団体の協力を得て実施することができたが、詳細の具体的なアンケート調査は実施できなかったことと、それにかかる人件費が使われなかったため、次年度使用額が生じる形となった。

次年度使用額の使用計画

平成28年度までに実施できなかった地域交流や社会参加を促すアンケート調査の実施ととりまとめ作業用等の費用として用いる。
また、研究成果に基づく報告書やパンフレット等を作成するなど被災地における健康づくりに直接、反映できる形・方法を検討し、提言を行っていく。

  • 研究成果

    (24件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 地域保健で求められるソーシャル・キャピタル醸成事業(第3回) つながりを厭わない仲間づくり2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平, 岩室紳也
    • 雑誌名

      地域保健

      巻: 48 ページ: 82~85

  • [雑誌論文] 東日本大震災による被害状況が被災2年後の精神健康に与える影響の検討~岩手県沿岸部住民を対象とした追跡調査から~2017

    • 著者名/発表者名
      米倉佑貴、丹野高三、佐々木亮平、高橋宗康、坂田清美、横山由香里、小川彰、小林誠一郎
    • 雑誌名

      厚生の指標

      巻: 64 ページ: 24~29

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Weight Gain in Survivors Living in Temporary Housing in the Tsunami-Stricken Area during the Recovery Phase following the Great East Japan Earthquake and Tsunami.2016

    • 著者名/発表者名
      Takahashi S, Yonekura Y, Sasaki R, Yokoyama Y, Tanno K, Sakata K, Ogawa A, Kobayashi S, Yamamoto T.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11 ページ: e0166817

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 地域保健で求められるソーシャル・キャピタル醸成事業(第1回) なぜ、つなぐ?2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平, 岩室紳也
    • 雑誌名

      地域保健

      巻: 47 ページ: 80~85

  • [雑誌論文] 地域保健で求められるソーシャル・キャピタル醸成事業(第2回) 人と人をつなげようとする「姿勢」が重要2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平, 岩室紳也
    • 雑誌名

      地域保健

      巻: 47 ページ: 82~85

  • [学会発表] 東日本大震災被災地住民における社会的孤立とその変化に影響を及ぼす要因:the RIAS Study2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平、坪田(宇津木)恵、丹野高三、下田陽樹、田鎖愛理、坂田清美、小林誠一郎、小川彰
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東日本大震災後の沿岸部と内陸部の慢性疾患の治療中断割合 の比較2017

    • 著者名/発表者名
      中谷直樹、中村智洋、土屋菜歩、成田暁、小暮真奈、丹野高三、佐々木亮平、高梨信之、坂田清美、富田博秋、菊谷昌浩、菅原準一、栗山進一、辻一郎、呉繁夫、寳澤篤
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東日本大震災後の宮城県におけるメタボリック症候群の 規定要因:地域住民コホート2017

    • 著者名/発表者名
      中村智洋、中谷直樹、土屋菜歩、成田暁、小暮真奈、丹野高三、佐々木亮平、高梨信之、坂田清美、菊谷昌浩、菅原準一、栗山進一、辻一郎、呉繁夫、寳澤篤
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東北メディカル・メガバンク事業 -地域住民コホート調査の進捗―2017

    • 著者名/発表者名
      寳澤篤、中谷直樹、中村智洋、土屋菜歩、成田暁、小暮真奈、丹野高三、佐々木亮平、高梨信之、坂田清美、菊谷昌浩、菅原準一、鈴木洋一、佐藤衛、峯岸直子、栗山進一、辻一郎、中村元行、呉繁夫
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東日本大震災後のメンタルヘルスの内陸-沿岸較差: 東北メディカル・メガバンク事業2017

    • 著者名/発表者名
      成田暁、中谷直樹、中村智洋、土屋菜歩、小暮真奈、丹野高三、佐々木亮平、高梨信之、坂田清美、冨田博秋、菊谷昌浩、菅原準一、栗山進一、辻一郎、呉繁夫、寳澤篤
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東日本大震災による被災状況が被災地勤労者の精神健康度に 及ぼす長期的影響2017

    • 著者名/発表者名
      田鎖愛理、下田陽樹、坪田恵、佐々木亮平、丹野高三、坂田清美、小林誠一郎、小川彰
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 東日本大震災後の内陸部と沿岸部の胃がんリスク比較2017

    • 著者名/発表者名
      土屋菜歩、中谷直樹、中村智洋、成田暁、小暮真奈、丹野高三、佐々木亮平、高梨信之、坂田清美、菊谷昌浩、菅原準一、栗山進一、呉繁夫
    • 学会等名
      第27回日本疫学会
    • 発表場所
      山梨県甲府市
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-27
  • [学会発表] 災害時の公衆衛生活動を通して~地域づくりができる‘人’づくり~ 被災地の健康づくり ~人と人とをつなぐことをいとわない人財育成~2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 東日本大震災被災地住民の健康知識に関連する要因の検討2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平, 丹野高三, 中谷直樹, 寳澤篤, 高梨信之, 坂田清美, 清水厚志
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東日本大震災被災状況とうつ病及びPTSD罹患リスクとの関連2016

    • 著者名/発表者名
      高梨信之, 丹野高三, 佐々木亮平, 大塚耕太郎, 坂田清美, 中谷直樹, 寳澤篤, 栗山進一, 辻一郎, 小笠原邦昭, 中村元行, 人見次郎, 佐々木真理
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 検体採取のタイミングによる随時尿中Na/K比の検討:TMM CommCohort Study2016

    • 著者名/発表者名
      丹野高三, 佐々木亮平, 高梨信之, 坂田清美, 寳澤篤, 栗山進一, 辻一郎, 小笠原邦昭, 中村元行, 人見次郎, 佐々木真理
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東北メディカル・メガバンク事業:地域住民コホート調査の進捗について2016

    • 著者名/発表者名
      寳澤篤, 丹野高三, 中谷直樹, 中村智洋, 土屋菜歩, 成田暁, 小暮真奈, 佐々木亮平, 高梨信之, 坂田清美, 中村元行, 菅原準一, 栗山進一, 呉繁夫, 辻一郎
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 沿岸部居住者における東日本大震災後の新規うつ病・PTSD罹患リスク2016

    • 著者名/発表者名
      中谷直樹, 中村智洋, 土屋菜歩, 成田暁, 小暮真奈, 丹野高三, 佐々木亮平, 坂田清美, 富田博秋, 菊谷昌浩, 菅原準一, 栗山進一, 辻一郎, 呉繁夫, 寳澤篤
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東日本大震災後の身体活動量とこころの健康の関連:地域住民コホート調査2016

    • 著者名/発表者名
      中村智洋, 中谷直樹, 土屋菜歩, 成田暁, 小暮真奈, 丹野高三, 佐々木亮平, 坂田清美, 富田博秋, 菊谷昌浩, 菅原準一, 栗山進一, 辻一郎, 呉繁夫, 寳澤篤
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東日本大震災後における自宅から最寄駅までの距離と高血圧治療中断に関する地理疫学的検討2016

    • 著者名/発表者名
      土屋菜歩, 中谷直樹, 中村智洋, 成田暁, 小暮真奈, 丹野高三, 佐々木亮平, 坂田清美, 菊谷昌浩, 菅原準一, 栗山進一, 辻一郎, 呉繁夫, 寳澤篤
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東日本大震災被災地域住民における経済状況の変化が主観的健康観へ及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      田鎖愛理、米倉佑貴、下田陽樹、坪田(宇津木)恵、佐々木亮平、丹野高三、坂田清美、小林誠一郎、
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 高齢者の良好な運動・食事習慣への改善および継続は将来のフレイルを予防する2016

    • 著者名/発表者名
      坪田恵、米倉佑貴、野末みほ、下田陽樹、田鎖愛理、佐々木亮平、丹野高三、西信雄、坂田清美、小林誠一郎
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] AIDS文化フォーラムで広がる被災地の健康づくり、地域(まち)づくり2016

    • 著者名/発表者名
      岩室紳也、佐々木亮平、久保慶祐、花崎洋子、堀江絢菜
    • 学会等名
      第75回日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      大阪府大阪市
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [学会発表] 東北の再生と復興をめざすスポーツ振興と体力医学 陸前高田市における震災後の健康づくり ~運動を手段に仕掛け続ける地域づくり(復興)~2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮平
    • 学会等名
      第71回日本体力医学会
    • 発表場所
      岩手県盛岡市
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-25
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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