研究課題
本研究では平成23年から継続実施されている「岩手県における東日本大震災被災者の支援を目的とした大規模コホート研究(RIAS)」のデータを活用し、被災地における地域交流等に関する実施状況と組み合わせることで、それらの活動が個人のソーシャルネットワーク(SN)やソーシャルキャピタル(SC)に与える影響、SNやSCの変化が身体的、精神的健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。平成30年度は、陸前高田市における社会参加活動に関する調査を継続して行い、行政やNPO等の協力を得ながら、主にインフォーマルな活動を行っている活動に絞り、基礎情報の収集を行なった。結果、陸前高田市内8町別に約370ヶ所の活動状況のうち、約150カ所について整理し、これら活動の概要をまとめた通称はまかだスポットガイドをWEB版の公開をスタートさせた。同時に、活動内容別に12分類化し整理を行った。そのほか、日本疫学会に参加し、東日本大震災後の健康面への影響及び地域におけるソーシャル・キャピタルの評価方法等について情報収集した。社会参加しやすい地域づくりを進めることで抑うつ傾向保有割合が地域単位で軽減できる可能性があることや、月1回未満の交流は、2年後の精神的健康状態に対しても影響を与える可能性があること、地域参加と地域互酬性について、世代を通じて一貫して良好な地域では、若い世代の健康状態が良好な可能性があること、友人や近隣への情緒サポート提供は認知機能低下発症後の経時的な低下の程度を軽減する可能性があることなどを確認した。今後はさらに社会活動への参加度や種類、頻度等を整理し、地域の活性度と住民の参加程度等を変数に加えた健康度評価を行い、行政へ具体的な取り組みの有用性を提示しながら、被災地におけるさらなる活動の後押しになるよう地域還元を行っていく。
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地域保健
巻: 50 ページ: 78-81
巻: 49 ページ: 74-77
巻: 49 ページ: 72-75
巻: 49 ページ: 78-81