本研究は、保健師を対象として低出生体重児を育てる家族支援のための教育プログラムの開発、試行、評価を行い、保健師の実践力を高めることを目的として実施した。 教育プログラムは、新任期の保健師を対象とし、講義、事例検討、情報交換の内容で実施した。1回あたり120分の完結型とした。教育プログラムを3回試行し(2018年12月~2019年11月)、計13名の保健師が参加した。回答者の属性は、経験年数は平均1年8か月(範囲6か月~2年8か月)であった。参加者のうち10名(77%)がこの1年の間に低出生体重児の支援を経験していたが、低出生体重児の研修を受けたことがあるものは、基礎教育での講義も含めて4名(31%)であった。 教育プログラムの評価は、5段階のリッカートスケール(1.全くそう思わない~5.大変そう思う 等)と意見および感想(自由記載)で回答を求めた。教育プログラム全体を通しての満足度は高い結果となり、自由記載では「低出生体重児の母親の実際の思いや経験が印象に残った」という意見が多くみられた。 教育プログラムは、120分の1回完結型であったが、低出生体重児を育てる家族に特徴的な課題を学び、支援の大切さを実感する機会となったと考える。特に、基礎調査で行った低出生体重児の母親の経験や思い、保健師に対する印象を伝えたことは、参加者自身の支援の振り返りや保健師としての姿勢を考えるきっかけとなっていた。また、特定のテーマで新任期の保健師が交流することは、同じ立場での思いを共有する機会となり、今後の活動への動機づけとなったと考える。 また、第28回日本新生児看護学会学術集会(2018年11月)で示説発表した「低出生体重児を育てる母親が妊娠・出産・育児を通して支援に望む思い」の内容を精錬し、論文を執筆した。学会誌に投稿し、現在、編集員会の査読結果待ちである。
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