24時間活動する社会が日常化している我が国において,夜勤を伴う交代制勤務は必要不可欠となっており,厚生労働省が5年毎に行っている労働者健康状況調査によると,深夜業に従事する労働者の割合は21.8%と報告されている.夜勤者の疲労やストレスについては,先行研究において数多く調査されているものの,対象の多くが医療・福祉業従事者であり,勤務条件や対象者の属性の影響が排除出来ていない. 本研究では,製造業に従事する男性職員のうち,5日間連続夜勤と5日間連続日勤を週替わりで行う交代制勤務者26名に対して,夜勤時と日勤時の疲労とストレスについて調査を行った. データに欠損がない22名を分析対象とし,夜勤と日勤における疲労を比較すると,全ての日において夜勤の方が疲労していた.疲労のピーク日は,夜勤では勤務初日,日勤では最終日であった.変動は夜勤はある程度の高さで増減することに対し,日勤は増加傾向であった.一方ストレスでは,全ての日において,日勤の値が高かった.値のピークは血圧値と脈拍数は夜勤と日勤共に勤務初日で,変動は勤務後半にかけて減少傾向にあった.しかし,アミラーゼ値は夜勤では増減を繰り返し,日勤では初日から最終日まで増加傾向を示した.ピーク日も夜勤では3日目,日勤では最終日と他の値とは異なっていた. 以上の結果から,疲労もストレスもサーカディアンリズムの影響を受けていることが明らかになった. 本研究では,分析対象が22名であったことから,結果の一般化には注意を要する.しかし,同一人物で5日間連続する夜勤と日勤における疲労とストレスを調査し,ピーク日や変動が異なることを明らかにしたこと,疲労とストレスは同様の動きを示さないことを明らかにした点に意義がある.今後は,調査対象者及び職種を増やし,夜勤・交代制勤務者の特徴を見出していきたいと考える.
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