X線光電子スペクトルやX線吸収スペクトルの精密解析を目指し、内殻イオン化・内殻励起状態を正しく取り扱うための電子状態理論の開発および応用を行った。特に遷移金属元素のd電子に由来する強い電子相関効果を密度行列繰込み群に基づく非経験的分子軌道計算により取り扱うことで、これまで解析が困難とされてきた常磁性錯体のXANES解析に利用できる計算手法の開発に成功した。開発した手法を、遷移金属錯体のXANES解析へと応用し、実験分野とも共同して遷移金属錯体の構造および電子状態の実践的な解析が行えるようになった。本成果は今後、触媒・材料設計のための有用な構造解析ツールとして利用できると期待される。
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