研究課題/領域番号 |
15K20834
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 浩三 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 研究員 (20624795)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 核酸刺激 / 新規細胞内核酸誘導シグナル / 癌細胞選択的細胞死誘導効果 |
研究実績の概要 |
核酸が癌細胞において、「細胞内自然免疫系シグナルを介して癌細胞選択的にアポトーシスを誘導する」ことを我々は研究費申請前の予備実験で示しており、本研究ではそのメカニズムを乳癌細胞株等を用いて解明する計画を示した。 従来の報告では特に自然免疫応答の最終産物である1型インターフェロンやその上流の中心的シグナル分子であるMAVSがアポトーシスの必須関連分子と検討されていた。しかし、我々の実験結果において、CRISPR/Cas9遺伝子編集システムによるMAVSを欠損させた同癌細胞株で、核酸刺激によるアポトーシス誘導が同程度に認められ、MAVS(Type1 IFN)非依存的なアポトーシス誘導pathwayの存在が新規に示された。この現象は、少なくともヒト由来の癌細胞(乳癌:MCF7や肺癌:A549等)と正常細胞(MRC5やHELF等)において認められ、核酸による癌細胞選択的Apoptosisの新しい概念をうち立てる見解となる一方で、将来的に臨床応用への期待ももたれる。 現在、2年目の計画であったIn vivo系を中心に研究を進めており、担癌モデルマウス(肝転移モデルおよび肺転移モデル)を用いて、個体レベルでの治療効果および組織レベルでの癌細胞の選択的細胞死について解析されつつある。 今後、追加実験等を行い、年度内の論文発表を視野に入れるとともに、論文発表後は海外癌関連学会にて発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は2年計画で構成し、一年目に癌細胞細胞内メカニズム解明を、二年目にマウスモデルにて選択的抗腫瘍効果およびメカニズム解析を課題としていた。 現在、前者は概ね終了し、後者も七割終了している。そのため、論文投稿を視野にいれた研究計画が年度内に遂行可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究成果を論文投稿した後、他の助成金等の資金を得るなどして、速やかに他の臓器由来癌細胞での核酸治療薬の効果および細胞内メカニズムを詳細に解析してゆく。また、動物実験に関しては、今回用いた人為的作成モデルではなく自然発生モデルにて本研究の見解が示せるか否か調べる予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が良好に進み実験数が削減出き、消耗品の購入を抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の関連実験に充てる予定でいる。
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