研究課題/領域番号 |
15K20838
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
白田 康洋 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80635110)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動学ゲーム理論 / 産業組織論 / ネットワーク理論 |
研究実績の概要 |
本年度はまず,昨年に引き続き関連文献の調査を行った.2 年目以降は,もし不十分であれば上記調査を引き続き行い,それに基づきまず,研究目的1「企業間競争戦略にネットワークが与える影響についての動学的分析」のモデル分析を開始した.具体的には,ネットワーク上のノードに企業が分布していて,またそのリンク上に多数の消費者が分布している状況をモデル化し解析を行った.その結果たとえ多数の企業が参加していても,ネットワーク化された市場では,されていない市場と対照的に,価格が完全競争的にならずに高い水準にとどまり消費者の余剰が低くなってしまうことがわかった.そしてこの結果をまとめ,ワーキングペーパー「Evolution of a collusive price in a networked market 」としてSSRNに公開した. また,昨年度から開始した3人の参加者が存在する経済での協力行動の進化に関する共同研究のコンピュータ・シミュレーションを行い,さらにそこから得られた知見を理論的に厳密に証明することが出来た.具体的には,2人の部分提携の価値が十分に高いと,効率的な3人提携が進化的に安定とならず,非効率な2人提携が安定となり,提携不参加者に対する社会的な排除が発生してしまうことがわかった.これらの結果を論文「Evolution of fairness and coalition formation in three-person ultimatum games」としてまとめ,学術誌Journal of Theoretical Biology に投稿したところ受諾された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の研究の進捗具合を自ら判断すると,研究目的1「企業間競争戦略にネットワークが与える影響についての動学的分析」についてはおおむね研究計画書に書いた通りのペースで進めることが出来ている. 研究目的2「企業間取引ネットワーク形成の動学的分析」については,まだ関連研究を精査している段階である. しかし,新たに始めた関連テーマでの共同研究が予想以上に研究が順調に進み,本年度に成果を論文にまとめて発表することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
来年度はまず,本年度にまとめた「企業間競争戦略にネットワークが与える影響についての動学的分析」に関する研究のワーキングペーパーを様々な国内外の学会において発表し,研究者からのフィードバックを得たうえで,本研究を論文として完成させ,国際査読誌に投稿する. さらに,残された研究目的である「企業間取引ネットワーク形成の動学的分析」に関する関連文献を精査し,コンピュータ・シミュレーションと理論的解析の両者を同時にすすめていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,1件の海外出張において,別の研究資金からの補助を得られることが出来たため,その出張用に確保していた予算を使用しなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の海外出張に当てる予定.
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