研究課題
路面のラフネス(縦断方向における凹凸の平坦性)の評価は,路面の物理特性と人の生理や心理に関する情報の定量的な把握が必要であるため非常に複雑である.平成29年度は,路面凹凸の物理的な特性と,人の認知処理に関わる心理反応および精神的ストレスに関わる生理反応との関係について,ドライビングシミュレータを用いた走行試験を実施し検討した.平成29年度に得られた研究成果は以下の通りである.(1) 心理反応に基づくラフネス評価の結果,試験参加者は,代表的な路面凹凸の指標である国際ラフネス指数(IRI)の増加に伴い,人の認知に関わる反応時間が減少するグループと増加するグループに判別できることがわかった.特に後者は,IRIの増加に伴い反応時間が有意に増加し,ラフネスが乗員の快適性のみならず安全性にも影響を及ぼすことが示唆された.(2) 生理反応に基づくラフネス評価の結果,心拍変動の高周波成分(HF)および低周波/高周波成分比(LF/HF)により,車両振動刺激に対する振動感受性の差が精神的な疲労の蓄積に影響することを示した.研究期間(平成27年度~平成29年度)に得られた成果を要約すると以下の通りである.(1) 反応時間と心拍変動指標を統合し,ラフネスに対する生理心理反応について検討したところ,路面由来の精神疲労と認知に関わる注意資源の間の関連性を示すことができた.この結果,ラフネスの増加は,精神的ストレスの増加に伴う快適性の低下のみならず,疲労の増加に伴う安全性の低下につながることが明らかになった.(2) 人の生理心理反応に基づき,ラフネスの許容限界について検討したところ,幹線道路における快適性および安全性を考慮した値として,IRI = 5.4 mm/mを得た.この結果は,物理・心理・生理指標に基づく既往のラフネス評価結果と整合し,またそれらを裏付けるものとなった.
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