研究課題
研究1:2013年度岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診の参加者1054名のうち、40歳以上の552人(男性:198人、女性:354人)を対象とした。全身骨格筋肉量(SMM)、10m歩行速度、握力を従属変数とし、現在歯数、年齢、BMI、糖尿病・高血圧の有無、血清アルブミン濃度、喫煙習慣、飲酒習慣、配偶者の有無、教育年数を説明変数として、重回帰分析により解析を行った。咬合支持域とSMM、10m歩行速度、握力との関係を共分散分析により交絡因子の影響を調整して分析した。重回帰分析では、現在歯数は10m歩行速度(女性 p<0.01)及びSMM(男性 p<0.05)と有意な関連を示した。共分散分析では10m歩行速度では咬合支持域(女性のクラスAとC間 p<0.05)と相関していた。歩行速度というQOLに大きく影響する機能の低下がみられた点で歯数の喪失を予防することは、重要性がより大きいと考えられた。本研究により高齢者のみではなく中年期からも歯数減少がSMMに影響を与えることが明らかとなった。研究2:2015年度 岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診の参加者50歳以上80歳未満の532名(男性185名、女性347名)を対象に、嚥下障害と口腔機能の関連を検討した。嚥下障害の定義は、質問調査または反復唾液嚥下テストに該当した者とした。ロジスティック回帰分析を、従属変数として嚥下障害の有無、独立変数として、年齢、生活習慣、既往歴、教育歴、口渇、MMSE、現在歯数、ALBを投入して行った。先行研究では地域住民の嚥下障害を13.8から23.4% と報告されており、本研究は20.5%と同様の結果であった。ロジスティック回帰分析の結果では口渇、年齢、現在歯数において有意な関連がみられた。地域住民の嚥下障害では、口腔乾燥・現在歯数への対応が重要である可能性が明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
平成28年度の研究成果として、査読およびインパクトファクターを有する英語論文を2編出版することができた。歩行と嚥下という日常生活と生命維持に直結する要因が現在歯数と関連することを示せたため、目標として全体の7割は達していると考える。
これまでのデータを用いて、咀嚼、口腔乾燥感、う蝕、歯周疾患、顎関節等が全身の健康・疾病や生活習慣に対して与える影響についても検討することを予定している。
現在、英語論文を投稿中である。査読に対する返事を作成する際の英文校正における費用を目的としていた。査読がまだ帰ってこないため、次年度使用額が生じた。
査読結果に対するコメントの提出や本文の訂正を行う際に使用する予定である。
【メディア情報】筋肉量、歩行 歯と関連 弘大 中高年552人を分析-岩木健康増進プロジェクトの健康データを活用した弘前大学の研究成果について、東奥日報11/7で紹介されました。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Clinical Interventions in Aging
巻: 12 ページ: 515-521
https://doi.org/10.2147/CIA.S132637
巻: 11 ページ: 873-878
https://doi.org/10.2147/CIA.S108498
http://coi.hirosaki-u.ac.jp/web/news_detail.html?no=403