研究課題/領域番号 |
15K20850
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
金 天海 岩手大学, 工学部, 准教授 (30424815)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 水上ロボット / 力学系学習木 / 水底画像処理 / 安定化制御 / 予測制御 |
研究実績の概要 |
本研究では浅瀬において位置・方位を自律的に維持できる水上ロボットの構成論を確立することを目的としている. 本年度は(1)9軸センサ及び水底画像処理による定位システムを備えた水上ロボットの構成と改良,(2)力学システムの運動データを木構造により学習することで加速度予測を行う力学系学習木の構成,(3)前記定位システムおよび力学系学習木を用いた船体制御系の構成,(4)人が乗れるサイズの大型水上ロボット開発への着手を行った.また,(1)-(3)の効果について無波環境および有波環境にて試験した. 試験の結果,(1)について,高い精度での位置方位の推定結果が得られた.特に水底画像処理では,大船渡海岸の海底画像データよりオプティカルフローを算出した結果,高精度な位置推定が行えることが分かった.(2)について,高い精度での加速度予測と,当該加速度予測を用いた波力の影響の予測が得られた.具体的には船体軌道と力学系学習木による予測軌道の間の誤差を調査した結果,これらの軌道がほぼ一致する結果が得られた.また,力学系学習木により推定した加速度を実際の加速度から差し引くことで船体に加わる外乱加速度の推定ができることが分かった.(3)について,当該船体制御系を用いて有波環境において水上ロボットの位置・方位の自律的な維持ができた.具体的には,水上ロボットを造波水槽内の有波環境に浮かべて位置・方位の維持に関する試験を行った結果,外乱によって位置・方位が乱された場合にも元の位置・方位へ戻ることが確認できた.この際の水上ロボットの軌道をモーションキャプチャシステムにより計測したところ,水上ロボットが推定した軌道との間で良い一致が見られた. 今後は(4)に関する開発をさらに進め,その有効性を評価する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の計画内容を達成したことに加え,次年度の計画の一部としていた有波環境における位置・方位の維持についても達成できている. (1)について,高い精度での位置方位の推定結果が得られた.特に水底画像処理では,大船渡海岸の海底画像データよりオプティカルフローを算出した結果,高精度な位置推定が行えることが分かった.(2)について,高い精度での加速度予測と,当該加速度予測を用いた波力の影響の予測が得られた.具体的には船体軌道と力学系学習木による予測軌道の間の誤差を調査した結果,これらの軌道がほぼ一致する結果が得られた.また,力学系学習木により推定した加速度を実際の加速度から差し引くことで船体に加わる外乱加速度の推定ができることが分かった.(3)について,当該船体制御系を用いて有波環境において水上ロボットの位置・方位の自律的な維持ができた.具体的には,水上ロボットを造波水槽内の有波環境に浮かべて位置・方位の維持に関する試験を行った結果,外乱によって位置・方位が乱された場合にも元の位置・方位へ戻ることが確認できた.この際の水上ロボットの軌道をモーションキャプチャシステムにより計測したところ,水上ロボットが推定した軌道との間で良い一致が見られた.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は(4)に関する開発をさらに進め,その有効性を評価する予定であり,3m程度の実験機を年度内に完成させ,従来の実験機で研究開発した技術をこれに適用する.また,当該実験機の試験と評価を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際会議への成果発表等の時期が予定よりも遅れたため.
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年5月に開催されるICRAへの参加発表費用等として使用する.
|