研究課題
浅瀬において位置・方位を自律的に維持できる水上ロボットの構成論を確立するために,水底画像処理用カメラを備えた水上ロボットを2機構成した.水上ロボットの力学的振る舞いを学習させることにより,ロボットが辿る未来の軌道を予測するアルゴリズムとして,Dynamics Learning Tree (DLT) 及び FAD学習を提案した.DLTは,対象とする力学系の振る舞いをブラックボックスモデルとして学習するアルゴリズムであり,過去のデータと同じ重みで新規データを逐次追加学習できる他,収束性も保証されている.FAD学習は,波の影響による加速度,スラスターによる加速度,無波無動力時の動力学により生じる加速度を分離して学習するアルゴリズムである.DLT 及び FAD学習をモータバブリングと併用した造波水槽内での有波環境試験において,水上ロボット1は,水底画像処で得た位置情報とジャイロセンサで得た方位情報をもとに,自らが辿る平面運動軌道を予測することができた.この予測を用いた制御入力の最適化により,波の影響をキャンセルし,位置・方位を維持できた.水上ロボット2の四十四田ダム湖における実験においても同様の方式で位置・方位を維持できた.水上ロボットに意図的に変位を与えた実験では,目標位置・方位付近でのオーバーシュート等の調整が難しいPID制御と比較して,本手法では調整を行わずともオーバーシュートを起こさずに素早い制御ができた.さらに,水上ロボット2について大船渡沿岸の海にて性能評価を試みた.DLTについて岩手大学より特許を出願した.DLTは株式会社エイシングの商用人工知能パッケージに組み込み済であり,水上ロボット以外のシステムへの応用についても研究を進めている.本船体制御方式はアサヤ株式会社より販売予定の他,福島沿岸の放射線調査にも活用される見込みである.
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