嚥下は、食品粒子が咀嚼によって粉砕され、その構造が変化することに加え、食塊が唾液と混和され潤滑性が増大することによって引き起こされると考えられている。先行研究において、我々は、ウシ食道粘膜を用いて食塊の潤滑性を計測した。しかしながら、ウシ食道粘膜は経時的な変化や個体差が大きく、標準化が困難であるという問題点が明らかとなった。本研究課題では、ウシ食道粘膜の代わりに人工チューブを使用した計測装置を開発し、食塊の潤滑性を評価した。試験食品の水分量の増加に伴って、チューブの牽引力の最大値が減少した。これらの結果から、本研究で開発された装置による計測結果は、食塊の潤滑性を反映するものであると推察された。
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