本課題研究では、ヘリコバクター・シネディによる新興感染症における病態発現機構の解明に向けた研究を展開した。これまでに、本菌が感染マウスにおいて骨髄中に長期間潜伏し、動脈硬化症の病態を増悪させること、さらに、感染マクロファージにおいてはオートファジーを回避し、ミトコンドリアのイオウ依存型エネルギー代謝をハイジャックして細胞内寄生することが示唆された。従って、本菌は細胞内寄生などの宿主との共生関係を構築することで本菌感染症の病態を増悪させる可能性が考えられ、今後の本菌の病原性発現と動脈硬化病因論の解明および予防・治療法開発への応用に向けて極めて重要である。
|