研究課題
本研究では、モデル植物シロイヌナズナを対象に、ゲノムにおける様々な特徴の類似性を利用して、遺伝子発現パターンが似ている遺伝子群(共発現遺伝子群)を推定するバイオインフォマティクス的手法を開発することを目標としている。特に、ゲノム高次構造が遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにするために、多様な細胞条件におけるヌクレオソーム形成領域/オープンクロマチン領域の動的変化に着目する。平成29年度は、前年度に引き続き、MNase-Seq法をはじめとしたヌクレオソーム形成領域/オープンクロマチン領域の特定手法の次世代シークエンサーデータを網羅的に公共データベースから取得し、遺伝子発現ならびに遺伝子共発現との関係性を解析した。転写開始点直上のヌクレオソーム形成状態が遺伝子発現に強く影響することを明らかにすると共に、タンパク質コード領域の進化的新旧度によって個々の遺伝子のヌクレオソーム形成状態をある程度は推定可能であることを見出した。タンパク質の進化的新旧度は遺伝子共発現ネットワークの基本構造に強い影響を及ぼしており、ヌクレオソーム配置を介在因子として注目することで、遺伝子発現制御と遺伝子機能の両面から遺伝子共発現ネットワークの形成メカニズムを考察することが可能となった。得られた知見は、運用中の高等植物遺伝子共発現データベースATTED-II(http://atted.jp)ならびに微細藻類遺伝子共発現データベースALCOdb(http://alcodb.jp)で提供している遺伝子共発現データの品質向上への応用を進めている。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Plant Cell Physiology
巻: 59 ページ: e3
10.1093/pcp/pcx191
Frontiers in Plant Science
巻: 8 ページ: 1195
10.3389/fpls.2017.01195
http://atted.jp
http://alcodb.jp