奄美群島は太平洋戦争後、日本からの分離行政下におかれることとなった。この期間は1953年12月25日まで続くこととなるが、この間に奄美の人々は復帰を求めて様々な政治活動を行った。一切の暴力を伴わない平和的方法で進められ、市民主導で要求を勝ち取ったという点でこの復帰運動は近代日本の市民運動に特筆される。 本研究はこの復帰運動を対象に、こうした社会運動を可能にした奄美の民俗社会・民俗文化の特質を解明しようとしたものである。この問題に本研究はフィールドワークと現地資料からアプローチし、若者の組織と、若年層のライフステージと連動した復帰への動機づけが大きく寄与していたことを明らかにした。
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