シェーグレン症候群 (SS) の発症に関わるRORγt 陽性CD4+ T細胞に焦点を当て、RORγt発現により惹起される病因CD4+ T細胞の疾患特異的原因分子を明らかにする。そのため、SS類似の唾液腺炎を自然発症するT細胞特異的RORγt過剰発現マウス (Tgマウス) を用いて、解析を行った。 申請者はこれまでに、Tgマウスについて以下のことを明らかにしている。1) Tgマウス由来CD4+ T細胞をRag欠損マウスに移入すると唾液腺炎を発症する。2) RORγtxIL-17A欠損マウスの解析より、IL-17Aは病態に必須ではない。3) 制御性T細胞の減少が認められ、Rag欠損マウスへの共移入実験の結果、エフェクターCD4+ T細胞を抑制できない。 今年度は、病態に関与するTCR鎖を同定するため、レパトア解析を行った。まず、胸腺、脾臓、リンパ節由来CD4+ T細胞のTCR Vβ鎖ファミリーをフローサイトメーターで解析した。その結果、特徴的なTCR Vβ鎖レパトアの偏向を認めた。次に、唾液腺に浸潤したT細胞を単離し、Rag欠損マウスに移入した。細胞移入後、Rag欠損マウスの唾液腺に浸潤したT細胞のTCRをシングルセルレベルで解析した。その結果、共通のTCR Vβ鎖ファミリーが検出され、CDR3領域のアミノ酸配列も同一であった。このことから、Tgマウスの唾液腺に浸潤したT細胞は、ある共通抗原を認識して炎症を惹起していることが示唆された。
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