研究課題/領域番号 |
15K20885
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐野 良夫 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20650261)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グラフ理論 / グラフ固有値 / ホフマン・グラフ / 競争グラフ |
研究実績の概要 |
今年度は、主にグラフ理論や離散構造についての問題に取り組んだ。今年度の研究成果は以下の通りである。(1)一般化ベーテ木と呼ばれるグラフのライン・グラフの固有値および固有多項式についての研究を行った。この研究で得られた結果により、2003年のCvetkovic-Stevanovicの未解決問題が解決された。(2)符号付隣接行列の最小固有値が-2より大きい辺符号付グラフの完全な分類を与えた。この結果は、1979 年のDoob-Cvetkovicによる最小固有値が-2より大きいグラフの分類に関する古典的な結果の一般化となっている。また、ここで得られた結果により、未解決問題だった1977年のHoffmanの予想が解決された。さらに、ホフマン・グラフについての新たな結果も得られた。(3)グラフの競争数に関する研究を行い、ダイアモンドを含まないようなグラフに対して、その競争数の上界を与えた。これは、三角形を含まないようなグラフの競争数についての結果の一般化となっている。(4)最大次数が高々2であるハイパーグラフのハイパー競争数について、その値が高々2であることが知られているが、この結果に対する簡潔で短い別証明を与えた。(5)有向グラフに対する二重競争グラフおよび競争ハイパーグラフの概念の一般化として、二重競争ハイパーグラフを新たに定義し、ハイパーグラフがある有向グラフの二重競争ハイパーグラフとなるための特徴づけを与えた。(6)二重競争グラフと競争多重グラフの一般化として、二重競争多重グラフを新たに定義し、多重グラフがある有向グラフの二重競争多重グラフとなるための特徴づけを与えた。 それから、2015年11月には研究集会世話人の1人として「The 4th Workshop on Spectral Graph Theory and Related Topics」を筑波大学にて開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフの固有値とグラフ構造に関する研究、および、競争グラフなどの離散構造に関する研究において、いくつかの研究成果が得られ、また最小固有値を制限したホフマン・グラフについての研究においてもある程度の進展があったため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、引き続き、スペクトラル・グラフ理論の分野でのグラフの固有値とグラフ構造の関係についての研究を行うとともに、この理論研究の応用として、グラフアルゴリズム設計に関する研究も進めていくことで、研究課題に関する研究成果をさらに出していけるよう推進していきたいと考えている。
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