研究課題/領域番号 |
15K20890
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
長沼 孝雄 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (40466462)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非コードRNA / 脱ユビキチン化酵素 / RNA結合タンパク質 / 脱ユビキチン化 |
研究実績の概要 |
本研究計画は、非コードRNA(ncRNA)がどのように脱ユビキチン化酵素の機能を調節することで、標的タンパク質の脱ユビキチン化を制御しているのかを明らかにすることを目的としている。本研究では、特にNEAT1 ncRNAによる脱ユビキチン化酵素USP10の機能調節に注目し、①NEAT1 ncRNAとUSP10のRNA-タンパク質相互作用、②NEAT1 ncRNAによるUSP10の脱ユビキチン化制御とその生理的意義、③USP10に結合する新たなncRNAの探索をしていくことで本研究目的を達成しようとしている。 これまでの研究から、USP10が核内構造体パラスペックルと部分的に共局在し、NEAT1と相互作用することを見出しており、またUSP10がパラスペックル局在RNA結合タンパク質HNRNPKと相互作用すること、これらの相互作用がRNase A処理感受性であることも見出してきている。本年度は、USP10のNEAT1結合部位とHNRNPK結合部位を明らかにすることにした。まず、USP10の各種欠損体を作製し、NEAT1との共沈実験を行ったところ、USP10のN末端205アミノ酸を欠損させるとNEAT1の共沈が確認されなくなったことから、USP10のN末端205アミノ酸部位がNEAT1との結合部位であることが明らかになった。この領域には既知のRNA結合モチーフなどは見つからないことから、新規のRNA結合ドメインである可能性が示唆された。次に、USP10の各種欠損体を用い、HNRNPKとの共沈実験を行ったところ、USP10のN末端205アミノ酸を欠損させるとHNRNPKの共沈が確認されなくなったことから、USP10のN末端205アミノ酸部位はNEAT1との結合部位だけでなくHNRNPKとの結合部位でもあることが明らかになった。さらに、USP10のN末端205アミノ酸部位だけで、NEAT1やHNRNPKとの相互作用に必要十分かを明らかにしようとしたが、欠損タンパク質の発現が出来なかったため、現在のところ明らかになっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究実施者の研究実施場所の移転(筑波大学から国立国際医療研究センター)に伴い、研究環境のセットアップ等に時間を費やしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究実施者の移転もあり進展がやや遅れているものの、研究環境も整ったことや実験材料・ツールは既に豊富に保有していることから、概ね研究申請書の計画通り進めていく予定である。今後は、USP10が結合するNEAT1 ncRNA領域の同定やNEAT1によるUSP10のHNRNPK脱ユビキチン化制御とその生理的意義を明らかにすることを中心に研究を実施していく。また、USP10に結合するncRNAの新規同定も試みていく予定である。
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