研究実績の概要 |
世界全体で過剰なアルコール摂取に関連する害が問題視されるようになり、効果的な対策の推進が望まれている。この中でエビデンスのある対策として「大学生の過剰飲酒者の早期発見・短期介入」が含まれている。大学生におけるアルコールの有害な使用、アルコール使用障害者を同定し、適切な介入が行われることで、一気飲みや外傷、飲酒運転といったアルコール関連問題の発生を低減させることが出来ることが推測される。これにより未曽有の少子高齢化社会を支える貴重な若者の健康、QOLを保つことができ、日本全体の活力低下を少しでも抑えることが出来ると考えられる。1年目は研究体制の構築とAUDIT(the Alcohol Use Disorders Identification Test)の10の質問、AUDITの最初の3つの質問で構成されるAUDIT-Cなどを含む質問紙の開発、2年目はパイロット調査、3年目は2年目に行われた調査を改善し、直接面談によるDSM-5のアルコール使用障害の診断を含めたおよびインタビューシートを用いて、大学生に対する2,000人規模の横断調査を実施することができた。 これらの結果をもとにして、過剰飲酒者の同定、アルコール使用障害者の同定を行い、短期介入につなげるというSBIRT(Screening, Brief Intervention,Referral to Treatment)という枠組みを効果的に実施することが可能となる。 研究内容はすでに国際学会発表を複数回行っており、現在英文論文投稿中である。さらに研究成果の周知を行うとともに、各大学がアルコール関連問題に対するスクリーニングを行いやすいような情報提供を行っていく予定である。
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