本研究では,高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+d(Bi2212)単結晶を用いたテラヘルツ波発振器の高出力化を目指し,発振素子を構成するBi2212単結晶の厚さと発振出力の関係を調べた。その結果,結晶の厚さが5μm程度までは,結晶が厚い素子ほど強い出力を示す傾向が得られた。これは,素子に含まれるジョセフソン接合の総数と,素子構造で決まる放射効率を用いて説明できると考えている。また,ジュール熱を効率よく逃がす素子構造の改善などを進めた。これらにより,発振素子形状を調整する事で,従来構造より2~3倍広い周波数帯域の0.3~2.4 THz程度の発振が得られるようになった。
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