植物は動物や菌類とは異なる独自のスフィンゴ脂質構造を有しており、それらは植物固有の機能を担っていることが推測される。本研究では、多様な植物スフィンゴ脂質分子種を網羅する理論ライブラリーを構築し、その全分子種を標的とした一斉定量分析システムを開発した。本技術を用いることで、植物細胞膜上のマイクロドメインの形成と特定のタンパク質の局在化において、植物特有のスフィンゴ脂質分子構造が重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに分析技術のハイスループット性と網羅性を生かし、機能未知糖転移酵素変異体の中から、植物型スフィンゴ脂質糖鎖の多様性の根幹を形成する新規糖転移酵素を同定することに成功した。
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