スクリーニングを経て選定された21名の被験者に対して、事前に作成したインタビューガイドに基づく半構造化面接を行いながら、回収したインタビューの音声データのテープ起こしと質的な分析を実施した。その結果、3つの【メインテーマ】と3つの「サブテーマ」が抽出された。患者が持続的に抱える【社交場場面でのパフォーマンスを改善させる必要性(Need to improve my (one’s) social performance)】は、反すうを動機づける基盤となっていた。しかし、反すうは【延々と続く(Going on and on)】性質を持っているため、患者は自分自身はこれを止めることが難しいと感じていた。この性質を形成する要因には、「振り返りに対する葛藤(Conflicting beliefs about reviewing)」「侵入的な性質/いつでもどこでも始められる(The intrusive nature of reviewing)」「答えがない(No clear conclusions)」ことが挙げられた。しかし、反すうは患者も問題を解決させるどころか、【社交不安が続いてしまう(Keeping social anxiety going)】という逆の結果を招いていた。具体的な悪影響には「否定的信念の確証(confirmation of negative beliefs)」「予期不安の高まり(An increase in anticipatory anxiety)」「安全行動の開発(The development of new safety behaviours)」が挙げられる。これらの結果は、Clarkらが提唱する社交不安の認知モデルや先行研究の結果を支持するとともに、反すうの具体的なプロセスを明らかにした。 また、オックスフォード大学のクラーク教授らとともに、患者用教育資料「治療の導入」の作成・改良を行った。
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