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2017 年度 実績報告書

表現の自由の保障範囲に関する比較法的考察―孤独な表現に対する所持規制を素材として

研究課題

研究課題/領域番号 15K20912
研究機関千葉大学

研究代表者

大林 啓吾  千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70453694)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード憲法 / 表現の自由 / 孤独な表現 / 表現の自由の保障範囲 / 自己実現 / 個人の尊厳
研究実績の概要

本研究は、アメリカとカナダの比較研究を通じて、表現の自由の保障範囲について、特に孤独な表現に対する所持規制の検討を行うものである。平成27年度および平成28年度はアメリカやカナダに渡航して、必要な資料収集や現地の研究者にインタビューを行った。これらの研究を進めた結果、孤独な表現はプライベートエリアにおける活動に密接に関連することから、表現の自由のみならず、個人の尊厳にも関わることが判明した。
そこで、最終年度である平成29年度は、個人の尊厳についてアメリカと日本の比較研究を行い、それを踏まえて表現の自由との関係を検討した。まず、個人の尊厳については、日米比較を行った上で、その内容を国際憲法学会(ICON)で報告した。表現の自由の保障根拠の1つである自己実現を実践するためには個人の尊厳を認めなければならず、孤独な表現についても個人の尊厳が関わる。このような構造は、個人の尊厳を重視するアメリカの判例や、孤独な表現をプライバシーと絡めて保障したカナダの判例に親和的である。以上の検討の結果、孤独な表現は憲法21条の表現の自由と憲法13条の個人の尊厳の両方によって保障されると考えられる。なお、関連資料をワシントン大学で入手し、こうしたアプローチの是非についてはテュレーン大学のワーハン教授にインタビューした。
また、日本の判例法理との関係についても研究を進めた。レペタ訴訟が筆記行為の自由は21条1項の精神に照らして尊重されると判示している。それを踏まえると、孤独な表現は21条の権利そのものとはいえないかもしれないものの、21条に基づいて尊重されることになる。
このように、平成29年度は、孤独な表現が憲法21条の保障範囲に含まれ、また場面によっては憲法13条と相まって保障されるという構造を明らかにした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 表現の自由―修正1条絶対主義?2017

    • 著者名/発表者名
      大林啓吾
    • 雑誌名

      大林啓吾・溜箭将之編『ロバーツコートの立憲主義』

      巻: 1 ページ: 191-246

  • [学会発表] Human Dignity in Japanese Constitutional Cases: The Hybrid Approach as "Individual Dignity"2017

    • 著者名/発表者名
      Keigo Obayashi
    • 学会等名
      ICON/S Conference
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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