人々の立地選択を扱う都市経済学の文脈では,集積の経済から生じる正の外部性と混雑から生じる負の外部性の複雑な相互作用があるため,モデルは複数の均衡をもつ場合がほとんどである.一方で,外部性の存在により均衡は一般に効率的でないため,インフラ投資などの政策介入の議論が重要となる.しかし,複数の均衡が存在すると,政策を実行しても社会厚生を最大にする効率的な状態に経済が移行する保証はない.本研究は,(1)人々の立地選択の対象とするエリア(市区町村など)の空間単位が小さいときと(2)人々が将来期待を有するときのそれぞれについて,安定な均衡が一意になるケースを示した.
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