研究実績の概要 |
平成27年度に得られたプレテストの結果を基にして、セルフアセスメントツールの項目の精選、ワーディングの変更、レイアウトの工夫等を検討した。次に、妥当性検証調査として、前年度よりも対象者を増やし、作成した草案の構成概念妥当性を確認するとともに、客観的皮膚計測値に対するツールの妥当性を評価した。今年度調査に参加した対象者数は、地域在住高齢者110名であった(平均年齢76.5歳、女性103名)。開発したツールを用いて本人および看護職が前腕部の皮膚脆弱性を評価した。昨年度収集したデータと合わせて、看護職評価結果に対し探索的因子分析(プロマックス回転)を実施し、構成概念妥当性を評価した。また、併存妥当性評価として角質水分量、吸引法による皮膚粘弾性、超音波法による皮膚の厚みを同時に測定した。 探索的因子分析の結果、2因子10項目が抽出された。第1因子である「はり」には「肌をつまむと容易に伸びる」など4項目が含まれ、合計得点は皮膚の弾力性R2(r=-0.39, p<0.001)、皮膚の厚み(r=-0.42, p<0.001)と負の相関を示した。第2因子である「乾燥」には「肌の表面が白い粉をふいている」など6項目が含まれ、合計得点は角質水分量と負の相関を示した(r=-0.40, p<0.001)。本人評価と看護職評価の一致率は十分ではなかった。以上より、看護職評価によるスキンフレイルスクリーニングツールの構成概念妥当性と併存妥当性が確認された。 また、妥当性が確保された看護職評価によるツール得点と、皮膚脆弱性のリスクファクターとなる生活習慣との関連を評価した。その結果、保湿行動得点が高いほど、乾燥得点が低い傾向が認められた。 看護職などの支援者が地域高齢者のスキンフレイルを評価・発見するための簡便なツールが作成された。
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