研究課題/領域番号 |
15K20928
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牛久 綾 (篠崎綾) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581824)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Epstein-Barr virus / 胃癌 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
Epstein-Barr virus(EBV)関連胃癌における癌幹細胞を同定することを目的に、本年度は申請者の所属する大学の医学部附属病院において外科的に切除された胃癌組織検体を用いて、tissue microarray(TMA)を作成した。申請者の所属する研究室で既に構築していた約250例の症例に加え、新たに約600例についてTMAを構築した。これらのTMAを用いて、EBER in situ hybridization法により胃癌細胞におけるEBV感染の有無を検索した。さらに癌幹細胞に関する既報告を参考として、胃癌における癌幹細胞のマーカーの候補となりうる分子を10種類程度選定し、それらについて胃癌組織における発現を免疫組織化学的に検討するため、染色条件を決定し、染色を行った。これらの分子の発現と臨床病理学的因子との相関について統計学的解析を行った結果、特定の分子において、胃癌の予後不良因子となることが明らかになった。通常型の胃癌に比べ、EBV関連胃癌に特異的に高い発現を示す分子の有無については、現在解析を行っている。 これらに加えて、細胞株レベルでの検討も並行して進めている。EBV関連胃癌由来の細胞株から癌幹細胞の候補となりうる特定の分子を発現している集団をフローサイトメトリーにより分離し、マウスに移植することにより、より高率に癌が生着することが明らかになった。この分子に関してもさらに解析を進めている途上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数の胃癌症例を用いた検討により、癌幹細胞のマーカーを特定する解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
TMAを用いた免疫組織化学的検討の結果をもとに、EBV関連胃癌に特異的な癌幹細胞のマーカーを特定する。特定されたマーカーについて細胞株を用いた検証を行い、その分子機序を明らかにするべく、研究を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は主にTMAの作成と免疫染色の実施を重点的に行ったため、当初計画していた細胞株を用いた実験にかかる費用の一部が未使用のままとなった。さらに遠方で行われる学会への参加がなかったため、旅費として予定していた分を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
申請した研究計画を遂行するにあたり、次年度は本年度に比べ、基礎的実験に必要となる金額が増加することが予想され、上記の未使用の金額について、実験にかかる費用および学会参加の旅費、成果発表(論文投稿)に関連する費用に充填する予定である。
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