研究課題
EBV関連胃癌における癌幹細胞の同定を目的として、手術により摘出された胃癌組織検体を用いたtissue microarray(TMA)を構築し、癌幹細胞のマーカーとなりうる分子の発現を免疫組織化学的に検討した。対象とした症例は研究代表者の所属する研究室においてすでに構築されていた250例に加え、新たに約800例を追加し、TMAを構築した。まず、これらの症例についてEBER in situ hybridization法を用いてEBV関連胃癌の抽出を行った。次いで、癌幹細胞のマーカーとなる遺伝子や胃癌の発生・進展に重要な遺伝子の発現について、免疫組織化学的に網羅的な検討を行った。これらの遺伝子の発現と臨床病理学的因子の関連について解析を行ったところ、ある種の分子の発現が胃癌の悪性度に関連することが明らかになった。それらの分子の中でも、特に胎児型形質を反映するマーカー(SALL4、AFP、CLDN6、GPC3)の発現に着目して解析を進めた結果、これらの分子の発現パターンにより、胃癌が3つのグループに分けられることが明らかになった。このうち、胎児マーカーを発現するグループは悪性度の高い腸型の形質を示す一方、EBV関連胃癌においてはこれらの胎児マーカーの発現は低頻度であった。さらにデータベースとして公開されている、胃癌における網羅的遺伝子解析の結果を参照したところ、本研究の結果と同様の傾向であることが示された。本研究で検索した分子の中では、EBV関連胃癌に特異的である癌幹細胞マーカーを特定するには至らなかったが、少なくとも、EBV関連胃癌の癌幹細胞性における、胎児形質に関連する分子の関与は限定的であることが示唆された。
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Am J Surg Pathol
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消化器・肝臓内科
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