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2015 年度 実施状況報告書

半導体量子ドット-光ナノ共振器結合系を用いた多光子NOON状態生成の理論

研究課題

研究課題/領域番号 15K20931
研究機関東京大学

研究代表者

上出 健仁  東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 助教 (50454062)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード量子ドット / 量子光源 / N00N状態 / ナノ共振器 / 量子光学 / 共振器電気力学
研究実績の概要

本研究の主要課題である「量子ドット(QD)-共振器結合系を用いたN00N状態生成」について現在遂行中である。結合系特有の量子干渉効果を用いた効率的な生成法を多角的に検討している。その検討案の一つとして、複数の結合共振器と量子ドットとの強結合系においては、定常励起下における発光ダイナミクスにおいて、高速の強度変調が自律的に発生することが明らかになった。当初予期しなかった自励振動現象を発見した。この結果について、国内会議1件[1]、及び、国際会議1件[2]にて報告した。

もう一つの研究目的として、QD・共振器系単一光子源の外部制御法の考案がある。今年度はスペクトルフィルタリングの効果について解析を行った。我々は、フィルタ通過後の光に対する単一光子純度を定量的に示す強度相関関数g2(0)の計算法を提案し、その方法に基づき3種類(ローレンツ型、ガウス型、矩形)のフィルタ対する解析式を導いた。これを用い、実際の系の物性値を用い、単一光子純度や発光レートを数値的に評価した。その結果、(i)フィルタの最適なスペクトル幅が励起子分子束縛エネルギーと発光線幅エネルギーの間のエネルギー程度であることや、(ii)励起方法がインコヒーレントポンプかコヒーレント共鳴励起かにより相性の良いフィルタの種類が異なることなど、最適化方法の指針を与える知見を得た。また、コヒーレント共鳴励起下では、矩形フィルタを通過後に特有の非従来型干渉効果による多光子状態の除去が起き、干渉条件を満たした場合に単一光子の高純度化が起こることが分かった。本研究成果については学術論文誌[3]にて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

N00N状態の生成についてアイディアはまとまりつつあるが、定量評価は完了していない。
一方、量子ドットナノ共振器結合系の発光ダイナミクスについて、高速自励振動という当初予期しなかった新たな発見が得られ、国内会議1件[1]、及び、国際会議1件[2]にて報告した。また予定通り、量子ドット単一光子源に対するスペクトルフィルタリング効果に関する研究がまとまり、学術論文による発表を行った[3]。全体として、研究はおおむね順調に進んでいると判断する。

[1] 上出ほか「量子エミッタを含む結合ナノ共振器系のダイナミクスの解析」第63回応用物理学会春季学術講演会 (2016年3月、東工大) [2] K. Kamide et al., "Self-pulsation in coupled cavity QED systems", PLMCN17 (Mar. 2016, Nara, Japan). [3] K. Kamide et al., Phys. Rev. A 92, 033833 (2015).

今後の研究の推進方策

本研究の主要課題である「量子ドット-共振器結合系を用いたN00N状態生成」について引き続き理論解析を行う。
また、2015年度に予期せず発見された自律振動現象など、非線形動力学が高効率多光子光源へ活用できる可能性がある。今後これについても注目し、最終的な目標である高効率N00N状態生成法の提案と定量評価まで達成したい。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究は簡単なモデル化と解析計算により遂行されたため、当初予定していたクラスター計算機の導入は本年度は見送った。

次年度使用額の使用計画

次年度以降、必要になり次第、クラスター計算機のを検討し、それ以外は、情報収集や成果発表のための書籍や旅費に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Eigenvalue decomposition method for photon statistics of frequency-filtered fields and its application to quantum dot emitters2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Kamide, Satoshi Iwamoto, and Yasuhiko Arakawa
    • 雑誌名

      Physical Review A

      巻: 92 ページ: 033833

    • DOI

      10.1103/PhysRevA.92.033833

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Self-pulsation in coupled cavity QED systems2016

    • 著者名/発表者名
      Kenji Kamide, Satoshi Iwamoto, and Yasuhiko Arakawa
    • 学会等名
      17th International Conference on Physics of Light-Matter Coupling in Nanostructures (PLMCN17)
    • 発表場所
      Todaiji Temple Cultural Center, Nara, Japan
    • 年月日
      2016-03-30 – 2016-03-30
    • 国際学会
  • [学会発表] 量子エミッタを含む結合ナノ共振器系のダイナミクスの解析2016

    • 著者名/発表者名
      上出健仁、岩本敏、荒川泰彦
    • 学会等名
      第63回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      東工大大岡山キャンパス
    • 年月日
      2016-03-21 – 2016-03-21
  • [備考] 東京大学 荒川・岩本研ホームページ

    • URL

      http://www.qdot.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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