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2018 年度 実施状況報告書

同性婚の社会学―親密な関係性を全体社会に位置づける現代的プロジェクトの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K20932
研究機関早稲田大学

研究代表者

森山 至貴  早稲田大学, 文学学術院, 専任講師 (50745510)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード男性学 / セクシュアリティ / 新しいホモノーマティヴィティ / ネオリベラリズム / パフォーマティヴィティ / クィア・ペダゴジー
研究実績の概要

今年度は、男性同性愛者が現代日本社会におかれている状況に着目し、それをクィア理論にフィードバックさせる試みを中心的におこなった。1990年代以降のクィア・スタディーズにおいては、男性同性愛者が異性愛主義的な価値観を強く内面化することが問題視されてきたが、この論点を男性学の議論と接合させ、論文「ないことにされる、でもあってほしくないーゲイの男性性をめぐって」(『現代思想』47巻2号)を執筆した。
また、クィア理論の最重要概念であるパフォーマティヴィティは、同性婚などの「慣習的な意味に従属し、あるいは転覆しうる」実践について考える際には看過することができない。そのため、「複数の置換可能性ーパフォーマティヴィティ概念をめぐって」(『現代思想』47巻3号)で検討し、分析のための術語使用に対して否定的な評価を固めるにいたった。同性婚はネオリベラリズムと結託しうる、との指摘がすでにクィア・スタディーズ内部でなされているが、その際に参照される重要概念である「新しいホモノーマティヴィティ」(『現代思想』47巻6号)についても、再検討し文章にまとめた。

また今年度は研究成果のアウトリーチも積極的におこなった。このアウトリーチは広く一般社会に対してのもの、および授業実践における学生へのものも含む。後者については「空中から鳩を取り出すークィア・ペダゴジーに関するノート」(『ジェンダー研究21』8)という論文にまとめたが、その他原稿執筆、講演などもおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

理論的な検討については計画通りに進んだ。とりわけ、研究代表者の社会学的な問題関心をクィア理論の領域の議論と接合させることに関しては、論文や各種文章のかたちにまとめることができた。

ただし、具体的なデータを用いた調査については滞っている。理論的な検討にエフォートの多くの部分を割いたことも一つの要因だが、当該年度9月より学部役職者に就任し、業務の予想外の増大により十分な研究時間が確保できなくなったことが最大の原因である。

今後の研究の推進方策

順調に進んでいる理論的検討については引き続き進めるが、実証的な研究に重点を移すこととしたい。

学部役職者としての業務は2020年度も引き続きおこなうため、滞っている調査については、既存の、ないし申請者自身が過去の研究で集めたデータの二次分析をも選択肢に入れる。その上で、最終年度である2020年度内に論文にまとめることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

学部役職者就任に伴い研究の進捗がやや滞っているため、次年度に繰り越した上で引き続き本研究を継続する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] ないことにされる、でもあってほしくない――「ゲイの男性性」をめぐって2019

    • 著者名/発表者名
      森山至貴
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 47(2) ページ: 117-126

  • [雑誌論文] 複数の置換可能性ーパフォーマティヴィティをめぐって2019

    • 著者名/発表者名
      森山至貴
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 47(3) ページ: 145-153

  • [雑誌論文] 新しいホモノーマティヴィティ2019

    • 著者名/発表者名
      森山至貴
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 47(6) ページ: 180-184

  • [雑誌論文] 空中から鳩を取り出すークィア・ペダゴジーに関するノート2019

    • 著者名/発表者名
      森山至貴
    • 雑誌名

      ジェンダー研究21

      巻: 8 ページ: 49-60

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公開日: 2019-12-27  

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