• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

初期地球における隕石衝突率の解読

研究課題

研究課題/領域番号 15K20935
研究機関横浜国立大学

研究代表者

山本 伸次  横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (30467013)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード後期重爆撃 / 砕屑性ジルコン / 衝撃変成ジルコン / ジャックヒルズ
研究実績の概要

本研究課題では、月岩石の年代分析から提唱されている「後期重爆撃仮説」について、西豪州・ジャックヒルズ変礫岩中に含まれる砕屑性・衝撃変成ジルコンのインパクト年代分析から初期地球における隕石衝突率の解読を目指している。これまでに約2万粒の砕屑性ジルコンの観察をおこなった結果、そこに含まれている衝撃変成ジルコンの含有率は0.3%以下と極めて微量であり、また砕屑性ジルコンの場合、衝撃変成構造が消失している場合が顕著であるため、ジルコン内部組織を詳細に観察することが必要となる。
今年度の研究成果としては、10万粒オーダーでの砕屑性ジルコンを大量・迅速に回収するためのジルコン選別の半自動化・高効率化を進めた。具体的には、東京大学磯崎教授と共同で高精度マニピュレータ(マイクロサポート:アクシスプロ)および画像認識ソフト(三谷商事:コンタミアナライザー)を組み合わせて、ジルコン自動選別機の開発をおこなった。従来の人力による顕微鏡下での鉱物回収では1日で数百粒が限界であったが、自動選別機では重鉱物フラクションからジルコン鉱物を1日で3000-4000粒回収することが可能になり、ジルコン回収効率が飛躍的に向上する結果となった。。
得られた大量のジルコン鉱物のU-Pb年代分析迅速化のために、京都大学坂田研究員(平成28年4月より学習院大学助教)と共同でLA-ICPMS分析装置を用いた1分析点5秒以内の迅速分析法を試みた結果、3日間で約2500粒のジルコン年代分析が可能となった。また、この分析によりこれまで世界最古の年代記録であった43.7億年という年代値を示すジルコン鉱物3粒が回収され、分析効率の向上のみならず年代分析上の再現性も確認された。上記の取り組みにより、現時点ではジルコン鉱物回収およびジルコンU-Pb年代分析は世界最高効率を達成する状況となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

代表者は対象地域の岩石を保有しているが、本研究課題の特性上、100kgレベルでの岩石処理をおこなう必要があるため、今後、保有岩石が枯渇することが予想される。研究計画1年目夏季に予定していた西オーストラリア・ジャックヒルズ地域での野外地質調査および岩石試料採取は、共同研究者であるクイーンズランド大学・コラーソン教授および東京大学小宮准教授の日程上の都合により、2年目のH28年夏季におこなうこととなった。そのために今年度の研究経費の一部をH28年度へ繰り越した。
大量のジルコン鉱物回収作業は、上記の高効率化による大幅な進展が見られたが、27年度の野外調査を28年度実施としたため、総合的には概ね順調という評価とした。

今後の研究の推進方策

代表者は平成27年12月に横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授へ着任したため、新規にジルコン鉱物回収のための実験室および重鉱物分離機器の整備をおこなった。異動後において、研究上の作業が円滑に進められるよう各種機器の整備・運用体制を整えた。具体的には、鉱物内部組織観察のためのCL(カソードルミネッセンス)検出装置を東京工業大学から横浜国立大学へ移設し、横浜国立大学機器既設のFE-SEM、FE-EPMA、EBSD、顕微レーザーラマン等を利用可能な環境となったことで効率的な分析実施体制となった。今年度は100万粒の砕屑性ジルコン回収を目指し、衝撃変成ジルコンの年代分析を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画1年目夏季に予定していた西オーストラリア・ジャックヒルズ地域での野外地質調査および岩石試料採取は、共同研究者であるクイーンズランド大学・コラーソン教授および東京大学小宮准教授の日程上の都合により、2年目のH28年夏季におこなうこととなったため、今年度の研究経費の一部をH28年度へ繰り越した。

次年度使用額の使用計画

豪州・ジャックヒルズ地域における野外調査および試料採取を約2週間の予定で実施し、旅費・レンタカー代・岩石運搬費として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Geology of the Eoarchean, >3.95Ga, Nulliak supracrustal rocks in the Saglek Block, northern Labrador, Canada: the oldest geological evidence for plate tectonics2015

    • 著者名/発表者名
      Komiya, T., Yamamoto, S., Aoki, S., Sawaki, Y., Ishikawa, A., Tashiro, T., Koshida, K., Shimojo, M., Aoki, K., and Collerson, K.
    • 雑誌名

      Tectonophysics

      巻: 662 ページ: 40-66

    • DOI

      doi:10.1016/j.tecto.2015.05.003

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 初期太古代ジルコンのU-Pb年代とそこに含まれる包有物の40Ar-39Ar年代2015

    • 著者名/発表者名
      山本伸次1、小宮 剛1、越田渓子1、兵藤博信2、佐藤佳子3、熊谷英憲3、渋谷岳造3、下條将徳4、坂田周平5、平田岳史
    • 学会等名
      2015年度日本地球化学会年会
    • 発表場所
      横浜国立大学(神奈川)
    • 年月日
      2015-09-16
  • [学会発表] Shock-metamorphosed zircons recovered from the Jack Hills metaconglomerates in the Narryer Gneiss Complex, Western Australia2015

    • 著者名/発表者名
      山本伸次・小宮剛・飯塚剛・渋谷岳造・Kenneth Collerson
    • 学会等名
      日本地質学会第122年学術大会
    • 発表場所
      信州大学(長野)
    • 年月日
      2015-09-13
  • [学会発表] Shock-metamorphosed zircons from the Jack Hills metaconglomerate in the Narryer Gneiss Complex, Western Australia: Significant clue for the terrestrial bombardment in the early Earth2015

    • 著者名/発表者名
      山本伸次、小宮剛
    • 学会等名
      日本地球惑星連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      2015-05-28

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi