研究課題
本研究課題では、主に月の岩石年代分析から提唱されている「後期重爆撃仮説」について、西オーストラリア・ジャックヒルズ変礫岩中に含まれる砕屑性・衝撃変成ジルコンのインパクト年代分析から初期地球における隕石衝突率の解読を目指した。砕屑性・衝撃変成鉱物は、衝撃変成組織が円摩・癒着・変成・変質により元組織が消失している場合があるため、ジルコン内部組織を詳細に観察することが重要となる。また、対象とする40億年以上の年代をもち、かつ衝撃変成組織を有する砕屑性ジルコンは全ジルコンの0.01%以下であるため大量の砕屑性ジルコン観察が必要となる。代表者は対象地域の岩石をから重鉱物濃縮のため、サイクロン式重鉱物分離装置(Falcon mineral separator model:L40)を導入し、採取した83試料の内、半数の約40試料のジルコン分離・観察から、光学顕微鏡によぶ観察から衝撃変成ジルコン約50粒の回収され、EBSDを用いた衝撃変成による動的再結晶の判別をおこないLA-ICP-MSを用いた年代分析の結果、衝撃変成年代および2次的な変成作用(広域変成作用)を区別することができた。これは衝撃変成組織を取り囲む変成リムを見分けることで各年代値の上限及び下限を与える。一方で、本研究課題の対象である豪州・ジャックヒルズ砕屑岩類に含まれるジルコンには、南アフリカ共和国における約20億年前の隕石衝突クレーターに存在する衝撃変成ジルコンで年代分析がされているような衝撃変成組織(planar PFs)はみられなかった。このことは衝撃変成作用時およびその後の広域変成作用の温度条件が異なるため、保存される衝撃変成組織もことなり、その結果ジルコンU-Pb年代にインパクト年代は保存されると考えられる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Gondwana Research
巻: 59 ページ: 159-179
10.1016/j.gr.2018.04.001
Geoscience Frontiers
巻: in press ページ: 1-11
10.1016/j.gsf.2017.04.010