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2018 年度 実施状況報告書

多数決型民主主義国家における妥協の政治―20世紀前半のカナダにおける連邦政治過程

研究課題

研究課題/領域番号 15K20937
研究機関共立女子大学

研究代表者

高野 麻衣子  共立女子大学, 国際学部, 専任講師 (10745673)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2021-03-31
キーワード地域主義 / 国家統合 / 多数決型民主主義 / 妥協 / 少数派政権
研究実績の概要

本研究では、制度的には国内多数派の利益を優先するカナダの議会政治が、民族的・地域的に高度な多元性を持つカナダ社会といかに調和しうるのかを検討してきた。これまでに各政権の政策決定過程と国家統合観を検討してきた結果、政府・政党次元での多数決型の制度的な特徴とは裏腹に、実際には利益間の妥協を見出す政治が展開されてきたことが明らかになった。それを踏まえて、平成30年度は下記の通り研究成果の取りまとめを進めた。
1)20世紀初頭から半ばまでの各政権における利害調整の特徴、および国家統合観の共通性と相違性を検討した。
2)政党や政権形態、首相の民族的出自の違いを超えて共通に見られた妥協的な利害調整とその歴史的背景との関連性を検討した。
3)民主主義と政党、議院内閣制に関して、新たに入手した二次資料の読み込みを進めた。
上記の取りまとめ作業の結果、以下の成果が得られた。政治的イデオロギーを超えた妥協的な利害調整は、政権の違いを超えて確認することができたため、本研究が対象とした20世紀初頭から半ばまでのカナダ連邦政治の特徴であると結論づけられる。ただし、国家統合観、すなわち、地域的・民族的多様性との向き合い方は、政権によって異なり、それには首相の社会的な背景やリーダシップが大きく影響していることが明らかになった。また、妥協的な利害調整とその歴史的背景との関連性については、検証作業の途中であるため、研究再開後の課題とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度に予定した以下の内容を検討することができたため、おおむね順調に研究を進めることができたと考える。
研究課題の対象とした20世紀初頭から半ばまでの各政権における利害調整と国家統合観を包括的に検討し、その共通性と相違性に関して通時的な説明を加えることができた。政治的イデオロギーを超えた妥協的な利害調整に関しては、自身の仮説を実証することができた点で有意義な成果となった。さらに、各政権の国家統合観を比較し、相違性を見出すことができたため、本研究課題が対象とした時代の前後にも射程を広げて、そうした相違を生み出す理由を探る研究へと発展させられる可能性を示すことができた。
また、新たに二次資料を入手し読み込み、研究の総括に向けて準備を進めることができた。研究成果の一部として、これまでに自身が進めてきた研究をカナダの政党政治に関する論文として精緻化し発表できた点も、一つの成果である。

今後の研究の推進方策

研究再開後は、政治的イデオロギーを超えた妥協的な利害調整とその歴史的背景との関連性について、検証作業を行う。19世紀半ばの時点で、異なる地域・民族的利益を党派(政党)、および政府内に取り込み、政治を運営するという考え方が存在したことが明らかになっている。したがって、20世紀初頭から半ばまでの政治的リーダーらが、植民地時代から始まるカナダ政治のあり方をどのように理解していたのかを丹念に検証する必要がある。その検討材料として、彼らの個人文書、また、伝記を中心とする二次資料を精査する。
以上の研究成果は、学会や研究会での意見交換を経て、論文としてまとめた上で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

産休・育休により研究を中断し、期間を延長したため、未使用額が生じた。研究再開後、この予算は今後刊行が予定されている書籍の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 総督の権限とカナダ連邦政治-1926年キング―ビング事件と進歩党を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      高野麻衣子
    • 雑誌名

      共立国際研究

      巻: 第36号 ページ: 115-130

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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