金属を極低温まで冷却すると抵抗が0になる。この超伝導現象が起こる温度(超伝導転移温度; Tc)を物質構造のみからシミュレートする手法が整備されれば高温超伝導体の探索が効率化される。本計画ではTcを物質構造から計算できる手法の開発を進めた。主要な成果として1)電子の強磁性揺らぎがTcにもたらす影響を取り込める拡張手法を実装した 2)また手法応用により近年発見された硫化水素における高温超伝導の発現機構を解明した。これらをきっかけとしてa)国際共同研究が立ち上がり、b)電子状態の特定の性質を制御する一般理論も確立した。以上は今後の超伝導体の探索およびTc上昇機構の研究に利用可能な成果と考える。
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