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2017 年度 実績報告書

向社会行動を支える心理メカニズムにかんする比較認知科学研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K20946
研究機関北海道大学

研究代表者

瀧本 彩加  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (40726832)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード向社会行動 / 心理メカニズム / 共感的反応 / 情動伝染 / ウマ
研究実績の概要

本研究では、向社会行動を示す動物種を対象に向社会行動とそれを支える心理特性を被験者内要因で実験的に検討し、個体差に着目することで、向社会行動の心理メカニズムを解明することを目的としている。本年度は向社会行動を促進するとされる共感的反応に関する実験的検討を実施した。本実験では、ヒトの情動がウマに伝染するか、またその伝染を親密さが促進するかを調べた。ヒト実験者(親密者または未知者)にウマの前に座ってもらい、情動の条件(喜び・中立・悲しみ)に応じた動画を3分間視聴させた。ウマにはその動画は呈示せず、動画を視聴しているヒトの自然な情動表出のみを呈示し、それを観察するウマの反応を測定した。実験は被験者内要因で実施した。もしウマにヒトの情動が伝染するなら、ヒトに対するウマの注視や接近行動は、中立条件でよりも喜び条件において長く頻繁に生じる一方、中立条件でよりも悲しみ条件において短く少なくしか生じないと予測した。また平均心拍数については、安静時に比べて悲しみ条件では増加する一方で、喜び条件や中立条件では変化しないと予測した。もし親密さがウマにおけるヒトの情動伝染を促進するなら、以上のような行動変化・生理変化が未知者条件でよりも親密者条件で大きく生じるだろうと予測した。ウマは、親密者よりも未知者を有意に長く注視する傾向を示した。ただし、その注視時間にヒトが表出した情動が影響することはなかった。また、ウマの平均心拍数には、情動の種類も親密さも影響しなかった。したがって、本実験においては、ウマにヒトの情動が伝染するという結果は得られなかった。今後は、実験手続きを修正して再検討するとともに、向社会行動に関する観察研究・実験的検討も実施し、それらの結果の比較を通じて、ウマにおける向社会行動と共感的反応との関連を検討したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] ポーツマス大学心理学部(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ポーツマス大学心理学部
  • [雑誌論文] ウマとヒトの絆を紡ぐもの2018

    • 著者名/発表者名
      瀧本彩加
    • 雑誌名

      Nextcom

      巻: 33 ページ: 46-47

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Horses catch human yawns.2017

    • 著者名/発表者名
      Takimoto, A. & Sato, A.
    • 学会等名
      Behaviour2017(a joint meeting of the 35th International Ethological Conference (IEC) and the 2017 Summer Meeting of the Association for the Study of Animal Behaviour (ASAB))
    • 国際学会
  • [学会発表] ウマにおけるヒトのあくびの伝染2017

    • 著者名/発表者名
      瀧本彩加・佐藤礼奈
    • 学会等名
      行動2017(日本動物心理学会・日本動物行動学会・応用動物行動学会・日本家畜管理学会・日本行動神経内分泌研究会合同大会)
  • [学会発表] ウマはヒトの感情手がかりに敏感化?―視線追従課題を用いた実験的検討―2017

    • 著者名/発表者名
      馬場千尋・河合正人・瀧本彩加
    • 学会等名
      行動2017(日本動物心理学会・日本動物行動学会・応用動物行動学会・日本家畜管理学会・日本行動神経内分泌研究会合同大会)
  • [学会発表] ウマにおけるクロスモーダルなヒトの情動認知2017

    • 著者名/発表者名
      中村航介・瀧本彩加・長谷川寿一
    • 学会等名
      行動2017(日本動物心理学会・日本動物行動学会・応用動物行動学会・日本家畜管理学会・日本行動神経内分泌研究会合同大会)
  • [学会発表] 社会的絆を支えるヒトらしいこころとは?―比較認知科学からのアプローチ―2017

    • 著者名/発表者名
      瀧本彩加
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会第10回大会
    • 招待講演
  • [図書] 「恋する人間」を考える(第8章 求め合うこころ―人間と伴侶動物が育んできた絆 の執筆を担当)2018

    • 著者名/発表者名
      阿部嘉昭・鈴木幸人・宮下弥生・松嶌明男・川口暁弘・ミシェル ラフェイ・樽本英樹・瀧本彩加・近藤智彦
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      北海道大学出版会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-06-16  

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