本助成の二年の研究期間中、私は一回のスキャンで生細胞のラマンと蛍光画像を同時に撮影できる新しいイメージング手法の開発に成功した。従来の手法だとラマンと蛍光画像を別々に取得する必要があり、常に動き、かつ代謝反応を持つ生細胞の研究には向いていない。本手法を幹細胞分化の研究にも投入し、幹細胞分化過程における Oct-4 タンパク(未分化細胞にしか発現しない分化マーカー)の発現に対応する微細な化学変化を抽出できた。
本来の研究計画では発光プローブを使用する予定であったが、蛍光プローブの方が遥かに明るかったためこちらを採用した。本研究で開発した手法はこれからも細胞代謝過程の解明に貢献すると思われる。
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