我が国は超高齢社会となり,高齢者の身体機能を改善することは喫緊の課題である.人は日常生活において,個々に動作を行うのではなく,自身の冗長な筋を巧みに制御して,複数の動作を遷移する.本研究では起立から歩行へ遷移する動作を対象に,人がいかに筋を制御しているのかのメカニズムを解明する.本研究では,筋シナジー仮説という筋の協同発揮現象に着目し,健常者と高齢者において運動計測実験を行い,解析を行った.その結果,健常者と高齢者ともに起立における4つの筋シナジーと歩行における5つの筋シナジーによって起立から歩行へと遷移する動作を説明することができ,高齢者ではそれらの重み付けが異なることが新たに分かった.
|