| 研究課題/領域番号 |
15K20959
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
栃木 栄太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50709483)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 粒界 / 破壊 / セラミックス / ドーパント / 透過型電子顕微鏡（TEM） / その場観察 |
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| 研究実績の概要 |
当該年度は以下の項目について重点的に取り組んだ。
(1)アルミナ粒界のTEMその場破壊実験
代表的構造用材料であるアルミナの粒界破壊挙動に関する知見を得るため、TEMその場ナノインデンテーション法を用い粒界破壊実験を行った。アルミナΣ13粒界を含む双結晶を作製し、TEMナノインデンテーション用試料へと加工した。粒界に平行に圧子を挿入したところ、粒界に沿って亀裂が伝播したことが確認された。その後、粒界破面および亀裂先端部の原子構造を走査型TEMにより詳細に解析した結果、亀裂は粒界の特異な原子結合を切断するように伝播したことが明らかとなった。第一原理計算により粒界構造を評価したところ、粒界亀裂は相対的に原子結合数の少ない面に沿って起きていることがわかった。このことより、アルミナにおける粒界破壊パスは原子結合数によって説明できることが示唆された。
(2)小型駆動デバイスを用いたTEMその場機械試験法の開発
TEMによる微細構造解析では、結晶方位と観察方位を適切に選択することが重要である。このため、通常観察用試料ホルダーは2つの傾斜軸を有している。一方、その場機械試験用試料ホルダーは、機械駆動部による制約から傾斜軸を1つしか有しないものが一般的であり、解析上の制限が大きいことが問題となっている。そこで、小型の駆動デバイスを2軸傾斜試料ホルダー先端部に組込むことにより、高精度の構造解析と機械試験を両立させる新たな実験系と付随する要素技術の開発を行っている。駆動デバイスについては協力研究者と共同で試作機の設計と動作試験を行った。2軸での傾斜およびデバイスの動作が確認されたものの、デバイスの発生荷重と試料の変形・破壊荷重との間に隔たりがあり、両荷重のマッチングが課題となった。このため、デバイスの設計変更により発生荷重の増大を図るとともに、最適な試料形状と微細加工方法を模索している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は添加元素（ドーパント）を含まないアルミナ粒界を対象とし、モデル粒界作製、その場粒界破壊試験、原子構造観察といった一連の実験と理論計算を含めた解析を実施できており、他の方位関係を有する粒界やドーパント添加系への拡張が可能な段階に至ったため。また、新たな実験系の開発に着手しており、今後の展開が期待できるため。
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| 今後の研究の推進方策 |
現状の実験系を用いた粒界破壊実験を引き続き実施し、対象を方位関係の異なる粒界やドーパント添加系粒界へと展開させていく計画である。また、小型駆動デバイスを用いた実験系の開発を重点的に進め、新しいTEMその場機械試験法の確立を目指し、粒界破壊実験への応用を検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
(1)実験に必要な試料加工冶具を特注にて製作する必要があった。素材、設計を吟味した結果、当初予定よりも安価に作製できる見込みであったが、試用の結果如何では改良の必要性が想定されていた。本冶具の納入が2016年3月になることがわかったため、改良に必要な費用は次年度に繰り越すことにした。
(2)出張回数および日数が計画よりもやや少なかったため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
試料加工冶具を試用した結果、性能は良好であり、改良には軽微な費用にて可能であることが分かった。この改良費用として見込んだ予算は他に必要な冶具類、実験消耗品として充当する計画である。また、旅費相当の残余分についても主に実験消耗品として支出する予定である。
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