本年度は、1μmの基板上に温度センサをAll印刷プロセスを用いて作製することに成功した。作製した温度センサは、総厚さ20μm程度と非常に薄く、高いフレキシブル性を実現することに成功した。作製した温度センサは、昨年度までの厚い基板上に作製した温度センサと比較してもほとんど同等の特性を示しており、5℃以下の小さな温度変化に対して抵抗値が5~6桁と非常に高い変化を示した。また、作製した温度センサは1mm以下の径を持つ棒に巻き付けても、動作するなど高いフレキシブル性を有していることを確認した。 さらに作製した温度センサは、厚さが20μmと薄膜であるために、従来の温度センサと比較して熱容量を低減することができ、高い反応速度を示した。さらに、作製した温度センサは生体組織などに非常に高い密着性を示しており、生体組織の温度の安定的な測定を実現した。 また、本年度は温度センシング領域を広げるために、融点の異なる数種類のアクリルコポリマーを混合するし、温度センサの作製を行った。作製した温度センサペーストは、従来の温度センサペーストと同様に印刷プロセスを用いて作製することが可能である。作製した温度センサは適切な割合でコポリマーを混合することにより、25℃から45℃の範囲で抵抗変化を示しており、4桁以上の抵抗変化を示した。このデバイスを用いて、生体に直接貼ることのできるパッチ式体温計を作製した。作製した体温計はワイヤレスでデータを転送することができ、体温のモニタリングを行うことを確認した。
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