研究課題/領域番号 |
15K20968
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
森田 淳平 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50737046)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 矯正歯科 / 唾液腺 / 線維芽細胞増殖因子受容体 |
研究実績の概要 |
本研究は、Apert症候群患者に対する矯正歯科治療を通じて見出した唾液量増大という表現型の発現メカニズムを、Apert型変異をノックインしたモデルマウスを用いて検索するものである。当該年度には、東京医科歯科大学よりFgfr2neo-S252Wマウスの凍結胚を譲受し、熊本大学生命資源研究・支援センターに委託して個体化し、本学動物実験施設に搬入した。また、ACTB-CreマウスをJackson Laboratoryから購入し、本学動物実験施設に搬入した。 これらのマウスを使用して、Apert症候群モデルマウスを作出し、Apert症候群患者における病態および顎下腺発生における上皮間葉相互作用を解明する基礎的研究を行う。研究期間内に以下の点を明らかにする計画である。 ①Apert症候群モデルマウスにおける顎下線の形態的変化を組織学的評価により調べる。また、唾液腺の機能評価を行う。②顎下腺形成に関与する遺伝子群発現および細胞増殖、アポトーシスを解析し、唾液腺の形態、機能に影響を与える原因の検索を行う。③上皮系細胞ではApert型変異をもつFgfr2を発現しないコンディショナルApert症候群モデルマウスを作出し、Apert症候群モデルマウスと比較する事でin vivoにおけるFgfr2IIIbS252Wの顎下腺に与える影響を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
譲受した遺伝子組み換えマウスの凍結胚から個体化する作業を外部に委託したが、これに時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
1. Apert症候群モデルマウスにおける唾液腺の機能および顎下腺の形態評価 Apert症候群モデルマウス(Apマウス)を用いて、唾液腺の機能および顎下腺の形態評価を行う。2ヶ月齢のApマウスに対して、全身麻酔下に、唾液分泌促進剤として塩酸イソプロテレノールと塩酸ピロカルピンを腹腔内投与し、一定時間後に全唾液を採取し、wildマウスと比較して唾液量が多いかどうかを検討する。また、唾液中の全タンパク質量およびα-amylase活性を計測、比較する。また、同マウスの顎下腺を摘出し、パラフィン包埋により組織切片を作製し、腺房および線管の形態を観察する。 2. 顎下腺形成時の遺伝子発現および細胞増殖、アポトーシスの評価 Fgf10、Fgfr1IIIb、Fgfr2IIIb、Pdgfa、Pdgfb、Pdgfrα、Pdgfrβ)の発現パターンを免疫組織学的染色、in situ hybridization法にて検索し、wild typeとApマウスで比較検討を行う。また顎下腺からRNAを抽出し、RT-PCR法により上記遺伝子群とMMP2の発現量の定量的解析を行う。さらに顎下腺の腺房および線管の形態に直接影響を与えると考えられる細胞増殖およびアポトーシスをTUNEL染色、BrdU染色にて評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
譲受した遺伝子組み換えマウスの凍結胚から個体化する作業を外部に委託したが、これに時間を要した。そのため、研究全体の進捗がやや遅れていることから、予定していた物品費が必要とならなかったことが考えられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
現時点では研究を進捗させる環境が整っているため、当初予定していた研究の物品費に使用することを計画している。
|