研究課題
平成27年度はCD200R3のリガンド探索を下記のごとく行った。1. まずリガンド探索のためのツールとして、CD200R3の細胞外領域とヒトIgG1のFc部分を融合させたキメラ蛋白質(以後、CD200R3-Fcと呼ぶ)を作製した。また、CD200R3の架橋刺激によりGFPを発現するCD200R3レポーター細胞を作製した。2. 外来性リガンドの同定:病原体成分など外来性リガンドを積極的に探索した。具体的には、病原体のホモジェネート液をCD200R3レポーター細胞に加えて培養し、GFPの発現を指標にCD200R3リガンドを持つ病原体をスクリーニングした。また、アレルギー反応を惹起することで知られる外来性物質においても同様の系でリガンドのスクリーニングを行った。3. 内在性リガンドの同定:各種細胞株やマウス組織において、CD200R3-Fcが特異的に結合する細胞、すなわちリガンド発現細胞をFACSで検索した。しかしながら今回、細胞株および定常状態のマウス組織において行ったリガンドの探索では、有望なリガンド発現細胞は得られなかった。CD200R3の好塩基球・マスト細胞特異的な発現と機能から、CD200R3の内在性リガンドがアレルギー・感染など病的状況下で発現増強することも想定される。したがって、今後はアレルギーモデル、寄生虫・細菌・ウイルス感染モデルを施したマウスから組織を回収し、リガンド発現細胞をスクリーニングする。リガンド発現細胞が得られた場合は、その細胞からcDNAライブラリーを作製し、レトロウイルスによる発現クローニングによりリガンド分子を同定する予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度予定していたリガンド探索のためのツール作製(CD200R3-FcおよびCD200R3レポーター細胞)は順調に完遂した。特にCD200R3レポーター細胞はリガンドの疑似体である抗CD200R3抗体で刺激すると、極めて強く、かつ刺激特異的にGFPを発現し、FACSや蛍光顕微鏡によるリガンドのスクリーニングを容易にした。現時点で、リガンド分子の同定には至ってないが、本年度作製したツールを用いることで、今後、効率良くリガンドをスクリーニングすることが可能である。したがって、研究の進捗状況はおおむね順調であると考えている。
現時点で、有望な内在性・外来性リガンドは得られていない。しかしながら、CD200R3の好塩基球・マスト細胞特異的な発現と機能から、CD200R3の内在性リガンドがアレルギー・感染症など特殊な状況下で発現が増強することも想定される。したがって、今後はマウスにアレルギー・感染症モデルを施してから組織を回収し、リガンド発現細胞をスクリーニングする。また外来性リガンドに関しても、検索する外来性物質の幅を広げて引き続き実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://immune-regulation.org/