研究課題
平成28年度はCD200R3のリガンド探索、ノックアウトマウス作製を下記のごとく行った。1. 外来性リガンドの同定:昨年度より実施している病原体成分など外来性リガンドの探索を、範囲を拡大して継続した。具体的には、寄生虫・細菌など病原体の抽出物をCD200R3レポーター細胞に加えて培養し、GFPの発現を指標にCD200R3リガンドを持つ病原体をスクリーニングした。また、アレルギー反応を惹起することで知られる外来性物質においても探索範囲を広げてリガンドのスクリーニングを行った。2. 内在性リガンドの同定:昨年度までの研究過程で、各種細胞株および定常状態のマウス組織において行ったリガンドの探索では、有望なリガンド発現細胞は得られなかった。CD200R3の好塩基球・マスト細胞選択的な発現分布から、CD200R3の内在性リガンドがアレルギー・感染など病的状況下で発現増強することが想定された。そこで本年度は、アレルギーモデル、寄生虫・細菌感染モデルを施したマウスから臓器・組織を回収し、CD200R3-Fc融合蛋白質の結合を指標としてリガンド発現細胞をスクリーニングした。3. ノックアウトマウスの作製:CRISPR/Cas9システムを利用して、CD200R3ノックアウトマウスを作製した。ノックアウトマウス由来の好塩基球を抗CD200R3抗体で染色した結果、蛋白レベルにおけるCD200R3欠損が確認された。
2: おおむね順調に進展している
本年度までに予定していたCD200R3ノックアウトマウスの作製は順調に遂行された。今後リガンドが同定された場合、このノックアウトマウスを用いることで、CD200R3レセプター/リガンドの生体内における生理的機能を解析することが容易となる。現時点で、外来性・内在性リガンド分子の同定には至ってないが、本年度作製したノックアウトマウスに各種マウスモデルを実施し、その表現型を解析することで、リガンドの同定の糸口が見出されるものと考えられる。したがって、研究の進捗状況はおおむね順調であると考えている。
現時点で有望なCD200R3の内在性・外来性リガンドは得られていないが、CD200R3レポーター細胞やCD200R3―Fc融合蛋白質を駆使し、引き続きリガンドのスクリーニングを行っていく。リガンド発現細胞が得られた場合は、その細胞からcDNAライブラリーを作製し、レトロウイルスによる発現クローニングによりリガンド分子を同定する予定である。本年度作製したCD200R3ノックアウトマウスに各種アレルギーモデルや感染症モデルを実施し、その表現型を野生型マウスと比較する。得られた結果を考察することで、リガンド探索範囲の絞り込み作業を行い、リガンドのスクリーニングをさらに進めていく予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Immunol Rev
巻: 278 ページ: 237-245
10.1111/imr.12548
Gut
巻: 65 ページ: 777-787
10.1136/gutjnl-2014-308900
Blood
巻: 127 ページ: 2607-2017
10.1182/blood-2015-10-673087
Semin Immunopathol
巻: 38 ページ: 535-537
10.1007/s00281-016-0582-0
巻: 38 ページ: 615-622
10.1007/s00281-016-0568-y
Biochem Biophys Res Commun
巻: 479 ページ: 517-522
10.1016/j.bbrc.2016.09.100
巻: 128 ページ: 2909-2918
10.1182/blood-2016-07-729392
Sci Rep
巻: - ページ: -
10.1038/srep36457
http://immune-regulation.org/