環形動物マシコヒゲムシ由来巨大ヘモグロビン(分子量約40万)について、酸素結合型結晶を調製し、これを浸漬法により少しずつ酸素解離型へ移行させることで、様々な酸素結合飽和度の結晶を作製した。レーザーによる結晶加工機を用いてこれらの結晶の外形を最適に加工し、酸素結合の飽和度と立体構造が同時に変化する過程を、X線回折と顕微分光の手法によりともに時分割的に観測した。巨大ヘモグロビンが酸素結合型から酸素解離型へ変化する過程で、局所的な三次構造変化が酸素解離の比較的早い段階から生じているのに対し、分子全体にわたる四次構造変化はやや遅れて生じていることが示唆された。
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