研究課題
前年までの研究で定量的熱刺激装置(quantitative thermal stimulator device:QTSD)を用いた冷温パルス刺激(cold-heat pulse stimulation:CHPS)に対し、一部の被験者で定量的感覚試験法(Quantitative Sensory Testing:QST)の評価項目のひとつでもある逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)を認めた。さらに、逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)の有無と条件刺激性疼痛調節(Conditioned Pain Modulation:CPM)効果に負の相関があった。したがって、逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)のメカニズムの解明はあたらしい慢性疼痛患者の病態評価法の開発につながると考えられるが、その発生メカニズムは不明であった。そこで本年度は、逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)の発症メカニズムの解明を目指し、健康成人を対象にさまざまな刺激条件(温度:冷、温、常温)で異なる部位(利き手前腕、反対側前腕、大腿)にわれわれが開発したQTSDをもちいて温度パルス刺激を与えたときの逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)の有無を確認し、その発症メカニズムを検討した。その結果、各刺激条件における逆説的温感覚(冷温錯感覚)や冷温弁別不能(異常感覚)の発症パターンより、本研究条件においてCHPSで誘発される逆説的温感覚や冷温弁別不能は、上行性の伝達を介した中枢性の修飾より末梢性の修飾の影響が大きいことが示唆された。
3: やや遅れている
定量的感覚試験(QST)の13項目の一種である逆説的温感覚に関して当初予測していなかったあらたな知見が得られ、慢性疼痛患者の病態評価に有用であると考えられる当該現象に関する詳細なメカニズムの検討のため、追加実験が必要となった。
慢性疼痛患者および健常ヒトボランティアを対象に研究を継続する予定である。
定量的感覚試験(QST)の13項目のうち、とくに逆説的温感覚に関してあらたな知見が得られ、当該現象に関する詳細なメカニズムの検討を行っていたためQSTとCPMの関連に関する患者でのデータ収集に至らず、計上していた経費を使用しなかった。
逆説的温感覚とCPMの関連について患者を対象にデータ収集を続ける。そのために未使用額を用い、QST・CPMを用いたあたらしい慢性疼痛患者の病態評価法の開発を目指す。
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明海歯科医学
巻: 46 ページ: 40-46
巻: 46 ページ: 34-39