研究課題
前年度までの健常者を対象とした研究から、Conditioned Pain Modulation(CPM)とQuantitative Sensory Testing (QST)の一種である冷刺激・温刺激をもちいた冷温交互刺激で誘発される逆説的温感覚(冷温錯感覚)の有無に関連があり、QSTとCPMを評価することであたらしい慢性疼痛患者の病態評価法が開発できる可能性があることが示唆された。そこで本年度は、同意の得られた口腔外科領域の成人予定手術患者を対象にCPMと逆説的温感覚(冷温錯感覚)および術後痛罹患期間の関連を検討した。CPM評価法は、定量的熱刺激装置を用いて冷温交互刺激温度を設定した後、利き手反対側前腕に条件刺激として冷温交互刺激を与えながら、利き手前腕でテスト刺激として圧痛覚閾値を測定した。CPM 効果は条件刺激中と条件刺激前の圧痛覚閾値の比から算出した。冷温交互刺激に対する逆説的温感覚(冷温錯感覚)の有無はインタビューで評価した。術後痛罹患期間は手術日から術後痛のVisual Analogue Scale(VAS)が0/100になるまでの日数をカウントした。その結果、CPM効果の大きさと逆説的温感覚(冷温錯感覚)の有無は術後痛罹患期間と関連を認めた。以上より、QSTの一種である冷温刺激テストで評価する逆説的温感覚(冷温錯感覚)とCPM評価による応答のパターン分類をすることで慢性疼痛患者の病態評価法として応用可能であり、QSTとCPMを用いたあたらしい慢性疼痛患者の病態評価法との開発につながる可能性が示唆された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
日本歯科麻酔学会雑誌
巻: 46 ページ: 40-42